「ガラスの中のお月様」で

きまりを守る心を培う

 

【対 象】小学校1・2年生

【ねらい】 お月様の最後の言葉について話し合うことを通して、約束やきまりをみんなで守り合おうとする態度を高める。4-(1)

【学習内容】

(1)お月様の気持ちについて考えること

        きまりを守ることを大切さ

        みんなできまりを守ることの大切さ

(2)自分の生活について振り返って考えること

        これまで、これからの生活

        友達と一緒にきまりを守っていこうとする気持ちの高まり

 

【資 料】 「ガラスの中のお月様」

      『10分で読めるお話三年生』学研 2005年所収

10分で読めるお話 三年生

     お月様の光が差し込むガラス工場で起きた出来事。

     ガラス工場には1336枚のガラスの製品(板やビン、皿、鉢、管、壺など)があった。ある日、泥棒が忍び込み盗みを働こうとしたが、その時、お月様の光が強くなり、全てのガラス製品に泥棒の姿が映った。どろぼうは、自分の姿だとは分かってはいたが、こわくて逃げていった。

     「だれもとられなくてよかった」とガラスたちが喜ぶ中で、お月様は「なによりもよかったのは、あの人がぬすみをやめて、悪い人にならなくてすんだことだよ」としずかな声で言った。

 

【学習過程】(45分授業、あるいは、朝礼などでの話として10分)

@        資料を読み、感想を発表する。(10分)

         「今日は、ガラス工場のガラスの製品たちと泥棒のお話です。」と伝えて、すぐに読み物資料を読み聞かせます。まずは、最後の3行(お月様の最後のつぶやき)を除いて聴かせます。

         太陽と月との対比などをここで取り上げて、後半のお月様の変容を際だたせることも可能です。

        発問1「感想を発表しましょう。」

        おとぎ話のよさや雰囲気を感じ取らせましょう。

 

A        最後にお月様が静かな声で話した内容について話し合う。(25分)

        発問2「最後にお月様が『よかった』と言っていることがあります。それは何だと思いますか?」

        この話のツボです。自由に発表させます。

        @そのほかのガラス製品と同じように、「盗まれなくてよかった」、A「こわれなくてよかった」、B「自分(月)の光が強くなって、泥棒を追い出すことができてよかった」、C「太陽のように強い光を放つことができてよかった」などを引き出します。

        ある程度出尽くしたら、回答である「何よりもよかったのは、あの人がぬすみをやめて、悪い人にならずにすんだことだよ。」を提示します。

        発問3:「お月様のこの発言についてどう思いますか?(お月様に伝えたいことはありませんか?)」

        今回の学習内容になります。@「お月様は、優しい人だな」、A「どろぼうのことを心配してあげる必要はないのではないかなあ」、B「お月様は、ガラスたちを守るだけではなく、どろぼうも(どろぼうをさせないように)守ったということだね」、C「お月様は、考えが深いな」などを引き出します。

        B、Cは、なかなか出ないと思われますので、「もし、お月様の光が強くならなかったら、どうなっていたと思いますか?」や「どろぼうは、ガラス製品を盗んでしまったらどうなっていたと思いますか?」などと問い返しながら、少し誘導するように(それは、あまりいいことではないのですが…)進めます(低学年の場合は、それが比較的自然にできたりします…)

        最終的に、「きまりや約束をみんなで守り合うことが大切なんだね」あるいは「一人残らず、全ての人が悪いことをしないような世の中、社会にすることが大切なんだね」などとまとめ、「遵法は全員、一人残らず全ての人の課題であること」、「自分一人くらいきまりを守らなくてもいいとか、あの人は守らなくも仕方ない」などと思ってはならない」ということに改めて気付かせます。

 

B        自分の生活を振り返って、お月様に手紙を書く。(10分)

        発問4:「授業中に考えたことや、みんながきまりを守っているかどうかなどについて、お月様にお手紙で伝えてあげましょう。」

        反省文のようになってはならないと感じますが、「みんなできまりを守り合う」という観点から日頃のみんなのあるいは自分の生活を振り返って感じたことを書かせることは大切です。