「だいすきっていいたくて」で

家族を大切にする心を培う

 

【対 象】小学校1・2年生

【ねらい】 ロラのテオを思う気持ちについて話し合うことを通して、家族を大切にしようとする心情を高める。4-(1)

【学習内容】

(1)ロラのテオを思う気持ち

        弟を思う気持ち

        家族みんなが互いを大切にし合う気持ち

(2)自分の生活について振り返って考えること

        これまで、これからの生活

        家族を大切にしようとする気持ちの高まり

 

【資 料】  『わたしはだいじなたからもの』文:カール・ノラック、絵:クロード・K・デュポア、訳:河野万里子

ほるぷ出版 2003年12月

     ロラにテオという弟がうまれた。御世話をしたくてたまらない姉ロラだが、だっこしてあやすのも、おもちゃを見せて楽しませるのも、ゆりかごをゆらすのもうまくいかない。テオは自分のことが嫌いなのではないかと悩むロラだったが、いつしか、テオがロラに向かってにこっとほほえむ。「テオは、もうわたしのことがすきだ」と安心するロラだった。

 

【学習過程】(45分授業)

@        資料を読み、感想を発表する。(10分)

         一人っ子の子どもへの十分な配慮を行いながら、授業を進めます。場合によっては、この資料を使わない方がいいこともあるでしょう。

         「今日は、楽しみにしていた弟が生まれた姉ロラのお話を使って勉強します。」と端的に伝え、資料全部を読み聞かせます。

        発問1「感想を発表しましょう。」

        資料への親和性を高めるために行う活動なので、ランダムに、自由な感想を引き出します。あまり時間を長くとりません。

 

A        テオに喜んでもらえないロラの気持ちについて話し合う。(25分)

        発問2「だっこしてあやすのも、おもちゃを見せて楽しませるのも、そして、ゆりかごをゆらすのもうまくいかないロラはどんなことを考えていたでしょうか?」

        @うまくあやせないのが悲しい、悔しい、A次は何をしたらいいか(と悩んでいる)、Bお母さんやお父さんに助けてもらえばうまくいくかも知れない、Cテオは自分のことが嫌いなのかな、D何とかテオに自分のことが大好きになってもらいたい、E自分は、テオのことが大好きだ、などが出てくるでしょう。

        ここでは、子どもが自分の経験をもとに発言していると考えられますから、@「あなたにも同じような経験がありますか?」とかA「あなただったらどうするでしょうか?」などと投げ返して、ロラの弟を思う気持ちに浸らせたいものです。特に、弟や妹がいない子どもにとっては、難しいので、大切な活動だと思います。

        発問3:「テオがにこっと笑って目をつぶり、『うん』とお返事するみたいにこっくりあたまを動かして眠ってしまいましたが、この様子を見て、ロラは、どんなことを考えたでしょうか。」

        今回の学習内容の中心です。@弟に好きになってもらえてとってもうれしく思った。Aこれからは、もっともっとやさしくしてあげたいと考えた。Bうれしくて、何も考えられなかった。Cテオが自分を好きだと思っている以上に、自分もテオのことが大好きだと思っている、などが出るでしょう。

        どれが正解などということはないのですが、特に@Aはみんなで納得する必要があるでしょう。このような「人の感情に対する納得」というのは、論理的にこうだからこうなる、などというものではないので、「自分だったらそう思う、感じる」や「きっとそんな気持ちになるんだろうな、自分のこんなことと似ているのかもしれない」などといわゆる共感することが必要です。

        最終的に、「家族って言うのは、こんな気持ち、すなわち『互いに大好き』という気持ちに支えられている」ということに改めて気付かせます。小学校低学年なので、教師の方から、「皆さんも、家族の、例えば、お兄ちゃん、おねえちゃん、 あるいは、妹、弟、または、お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、いろいろな人のことが大好きだよね。時にはケンカすることもあるけど、一緒にいて安心するよね。」などと日頃、自覚的にとらえていない感情に気付かせるような投げかけをすることが大切でしょう。

 

B        自分の生活を振り返って、ロラに手紙を書く。(10分)

        発問4:「授業中に考えたことや、自分の家族のことなどについて、ロラにお手紙で伝えてあげましょう。」

        ロラよりもテオに書きたいという子どもがいるかも知れませんので、どちらにも書いてよいなどの幅を持たせることがいいでしょう。

        家族を扱った読み物資料の場合は、それぞれの学級の実態や一人ひとりの感じ方などを十分考慮して授業化することが大切です。一人でも悲しくつらい思いをするのではないかと予想される場合は、あっさり、違う資料を使うなどの割り切りが必要だと思います。