「お百姓さんの宝もの」で

働くことの大切さを感じる

 

【対 象】小学校3・4年生

【ねらい】 息子の気持ちを話し合う中で、働くことの大切さを改めて感じ取るとともに、一生懸命働こうとする意欲を培う。4-(2)

【学習内容】

(1)息子の気持ち(人間の欲の醜さと働くことのよさ)

        父が埋めた宝物を早く掘り出したい(楽してお金持ちになりたい、豊かな生活をしたいというわがまま、欲望)。

        一生懸命働くことは、生活や人生の宝である(働くことのよさ)

(2)自分の生活について振り返って考えること

        これまで、これからの生活(自分なりの労働観のまとめ、高まり)

        一生懸命働こうとする気持ちの高まり

 

【資 料】『いそっぷ童話集』

文:いわきたかし   画:ほてはまたかし

童話屋   2004年8月

いそっぷ童話集

     むかし、働き者のお百姓さんが、死ぬ前に息子に向かって、「ぶどう畑に、宝ものをたくさん埋めておいた。それはみんなおまえのものだ。」と言い残して亡くなった。

息子は父の言いつけを守って、その年も、次の年もその次の年も畑をせっせと掘ってみたが、宝ものは出てこなかった。

しかし、畑をよく耕したので、いつもの年より、ぶどうがたくさん穫れて息子はお金持ちになった。

その時、畑に埋まっている宝ものとは「まじめに一所懸命、働くこと」だったのだと、父の言い残したことの本当に意味が分かった息子であった。

 

【学習過程】

※ 朝礼などの5分程度の説話で使うのも効果が高いのですが、それを45分授業で構成すると次のようになります。

@        自分の「宝もの」を感想を発表する。(10分)

        発問1「自分の宝ものを発表してください。」

        資料への親和性を高めるために行う活動なので、ランダムに、自由な意見を引き出します。あまり時間を長くとりません。それぞれの宝もののよさを受け止め、和やかにやりとりします。

        「物(例えば、ゲームなど)」、「動物(ペットの犬など)」、「人(例えば、家族や友だち)」と「それ以外(心根とか生き方など……あまり出ないと思いますけど…)」にそれとなく分けて板書します。

 

A        息子の気持ちについて話し合う。(25分)

        発問2「宝ものを探すために、畑を毎年掘り続けていたときの息子はどんなことを考えていただろうか?」

        畑を3年間続けて掘り続けていたところまでを読み聞かせて、発問2を行います。

        @自分に宝ものを残してくれるなんて、とってもいい父親だ。自分は幸せ者だなあ。 A宝ものとはいったい何だろうか。お金かな?金やダイヤモンドかな? Bいったいどこに埋めてあるのだろうか? 早く見つけ出したい。 C本当に宝ものが埋まっているのだろうか? 父親は嘘をついたのではないか。Dどうやら自分はだまされたのだろうか。

        @〜Dに束ねながら板書します。そして、a)「あなたは、何が埋まっていると思いますか?」、b)「あなたなら、何が欲しいですか?」、c)「父親がだましたとしたら、理由は何かなあ?」などと適宜全体に問い返しながら、話し合いを進めます。

        発問3:「『父の言い残したことの本当の意味がわかった』とありますが、『畑に埋まっている宝もの』とはいったい何だと思いますか?いつもの年よりもぶどうがたくさん穫れたことを考えてみると分かるかも知れませんね。」

        「畑に埋まっている宝もの、というのは、『     』ということだったのです」と書かれたプリントに考えを書かせます。

        あまり時間を取らずに、資料の続きを読み聞かせて、『まじめに一所懸命働く』を知らせる。

        画用紙の短冊に「人生の宝ものの一つは、一所懸命働くことである」と書き、黒板に添付する。そして、父親は、それを息子に知らせたかったがために、あのような遺言を残したのだと説明する。

 

B        自分の生活を振り返って、感想を書く。(7分)

        発問4:「授業中に考えたことや、学校や家で働いていること、お手伝いのことなどについて考えていること、感じていることをプリントに書きましょう。」

        あまり押しつけがましくならないことが大切なので、今お手伝いをしている内容とお手伝いしているとき感じていることなどを素直にプリントに書かせるだけでよい。

 

C        教師の話を聞く。(3分)

        導入でたくさん発表させた宝ものの中で、「一所懸命働く」に関する宝ものがないこと(当然ではありますけど…)を一旦確認した後で、高価な品物だけではなく、生き方や生活の仕方、物の見方なども立派な宝ものであることを話す。

        次いで、担任が普段働くときに大切にしている気持ちや心がけ、働いてうれしいこと、楽しいこと、逆に辛いことなどを話して聞かせる。

        黒板の短冊を教室に常掲する。折に触れて「人生の宝ものの一つは、一所懸命働くことである」を思い起こさせる。