道徳の時間


自己評価を資料選択に生かした道徳学習

主題名 自然を大切に  2時間

3―(1) 自然愛


【ねらい】
自然のはかなさ、偉大さに改めて気付き、自然環境を大切にしようとする心情と態度を養う。

【資 料】

『尾瀬を守って』(文渓 5年)   『一ふみ十年』 (東書 5年)

【ひびき合いの授業へのワンポイント】
*総合学習での体験活動を自己評価 して、ふさわしい資料を選ぶ。


【授業の様子】

1時間目

1.自然を守るために大切なことについて自由に意見を出し合う。(15分)

【発問1】 自然を守るために大切な行動・心はどんなことでしょうか。
普段の生活や創造の森での体験活動などを思い出して、意見を出し合いましょう。

キーワードを書き出し似たものを線で結ぶなどした表現物(「心の地図」と読んでいる)を書き、発表する。
 @一人一人が気を付けることが大切(人の責任にしない)
 Aみんなで協力する、呼びかけることが大切
 B自然を愛する優しい心と強い意志が必要、などの意見(行為と心情)が出てきた。

そこで、以下のようなやりとりをした。

@の「自分の問題として、身近なできることに取り組む」という意見と、Aの「みんなに呼びかけ、最後まで取り組む」というのは、両方とも大切ですね。普段のみなさんは、どちらが得意ですか? 
総合の体験活動では、自分ができることに力を入れていますか? 
それとも多くの人に訴えることに力を入れていますか?
私は、エコ商品について調べ自分の家で使うことに取り組んでいるので@です。
ぼくも、川のゴミや水質を調べて、ポイ捨てなどをしてはいけないなと思うようになったので、@の身近なところから取り組むことを大切にしていると思う。
ぼくは、調べたことをホームページにまとめてみんなに見てもらうことに取り組んでいるので、Aの方に力を入れています。自分も気を付けてはいるけど・・・
私も、創造の森のよさをまとめた紹介ポスターを病院に貼らせてもらって、緑の中で過ごすことの楽しさを多くの人に分かってもらいたいと思っています。
今日は、それぞれの考えを更に深めるのにふさわしい資料を一つずつ用意してきました。どちらかというと@のよさを描いている「一ふみ十年」とAのすばらしさを描いている「尾瀬を守って」です。自己評価に合わせて選択学習をします。

2.二つの資料を読み、感想を出しあった後、一人学びをする。(30分)

*理由を明確にして発言させると共に、どの意見も傾聴する。

【発問2】 資料を読んで、「心を打たれた行動や言葉」、「理由や状況をもう少し考えてみたいと思う場面」などを自由に発表してみましょう。

写真のように、発表を模造紙にまとめ、「総合や日常生活での自分と比べてどう思いますか」など自己評価を促した。
 およそ発言が出終わったら、「主人公はどんな気持ちからこんなことをしたり、言ったりしたのでしょう」と発問し、先の自己評価とこの課題意識を関連付けさる。

【指示】  それぞれの資料の主人公の気持ちや考えをもう少し考えてみたいと思うところにネームカードを貼り、行動の理由や動機についてワークシートに書きましょう。

一人一人が着目した「それぞれの場面の主人公が、なぜそんなことをしたり言ったりしたのかその時の気持ちや理由をワークシートに書く」という一人学びをした。その中に、「自然を守る」上での各自の道徳的価値が出てくると考えたからである。


※一人一人の考えを読み取り授業に生かすため、3日空け2時間目を実施

2時間目

3.グループごとに主人公の考え等を話し合う。(15分)

【指示】  はじめに同じ資料の同じ場面を選んだ人でグループになって、互いに考えを交流しましょう。
その後、同じ資料の違う場面、違う資料の人と交流相手を広げていきましょう。
違う場面や資料の人の場合には時間をかけて話してください。

【発問3】  それぞれの行動や発言の理由を話し合い、考えを深めましょう。
「何の見返りもないのに自然を守るために命をかけた長靖の気持ちがよく分からなかったのだけど、きっと尾瀬の自然が大好きだったのだろう。」「尾瀬の自然が壊されることがいやでいやで仕方なくて、守ることを使命と思うようになったのだと思う。それでもそこまでする気持ちはまだよく理解できないでいる」
という@の資料に対する考え
「松井さんの言うことを素直に聞き入れることができた勇は、元のようになるのに10年もかかるという事実に非常に驚いたからで、そんなことをみんなが知ることも大切さと思った」
というAの資料に対する考え
そして、「みんなが勇のように考えを変えることができれば長靖も苦労することは無かったのかも知れない」「長靖と松井さんは行動の大きさが違うけど、中味は同じことでそれぞれにすごいことだ」
などの両方の資料から感じたことを発表する子どももいた。

 同じような発表内容を括りながら板書し、それぞれの考えの異同を分かりやすくした。

再度、「みんなに呼びかけて自然を守ることがすばらしいこと」「一人一人が自然のよさを感じ取り、できることから地道にやっていくことのすばらしさ」を確認した。

自己評価がどのように変化するのか終末で書く活動を仕組んだ。

 

4.自分の納得した考えをワークシートに書いた後、総合学習や日常生活を振り返って感じていること、考えたことを付け加える。