調べ学習を生かした価値付け過程のある学習
学校のよさっていっぱいあるね 1時間
【ねらい】
自分の学校のよさに順序を付け話し合う活動を通して、学校に対する様々な見方・考え方ができるようにする。
【資 料】
■学校のよさとしてのランキング項目
@先生 A友達 B給食 C学習 D行事 E遊び F歴史 Gきまりの中から学校のいいところだと考える順に順位付けをする活動そのものを資料とします。
※ この学習を道徳の時間とするかどうかは、意見の分かれるところでしょう。一般には、道徳の時間とするのは、難しいと思われますね。
※ 学級活動として指導するのも可能でしょう。最も妥当なのは、関連指導する総合的な学習の時間とすることです。
※ 詳しくは 受容的関係と対話活動で育む を御覧ください。
【授業の様子】
1.Aさんの投げかけを聞き、自分の学校のよさを自由に発表する。(10分)
Aさんの 基調提案 |
みなさん、聞いてください。今総合でホームページづくりをしていますよね。 相手が知りたいと思っていることを取り上げることになっています。私は、「ヤギ」 のことです。でも、私が学校の一番いいところだと思っているのは、「先生」です。 1,2年生の時に習った先生は、今でも大 好きです。二番は、友達です。なぜかと言うと、いろいろなことを教えたり教わったりして楽しいからです。 学校に友達がいなかったら全然楽しくないです。 みなさんが思うこの学校のいいところは何ですか。教えてください。 |
Aさんが、総合学習の様子を日記に書いている中に、上のような内容があった。この日記を道徳授業で活用することにした。教師が紹介するより実際に本人に発表してもらう方が、子どもたちの関心が高まると考え、最後の一文を付け加えて、みんなに投げかけてもらった。毎日、朝の会でこのような基調提案−紹介・検討型の話し合い活動を行っているので、子どもたちは抵抗がない。Aさんからの提案後、学校のよさを口々に発表させ、それを8つの項目にまとめ、カードに書き黒板に添付した。そして、私の方からランキングの活動を提案し、学校のよさを捉え直してみようという投げかけた。課題提示である。
2.学校のよさをランキングして、二人組で意見を交換する。(15分)
【発問1】 | ランキングの理由を書いて、二人組で紹介し合いましょう。 |
自分なりの気持ちや理由をもって価値付けることに意味があるので、まず、一人一人じっくりとワークシートに考えを書かせた。私は、みんなに「正しい答えなどはないこと」「自分の考えで学校の好きなところを順番にすること」を繰り返し強調した。 個別学習の後は、二人組での対話活動を仕組んだ。十分に自分の考えを出し合い、じっくり友達の考えを知ることで、自分の「学校に対する気持ち」が整理されると考える。 Aさんとペアになった子どもは、一、二位とも違うよさ(項目)を掲げていた。違っているのが当然なのだが、思った以上にそれぞれの意見が違っているのには、みんな驚いていた。 教師は、二人組の交流に耳を傾けながら、時折、「どうしてそう思うの?」と理由を更に尋ねたり、「実際にどんなことがあったの?」と具体的な行動や場面を問い返して回った。順番が同じでも理由が違っていたり、順番は違うけど理由が同じだったりすることに目が向くような助言をした。 友達、行事を1位にする子どもが多く見られた。 |
3.学校のよさをみんなで話し合う 。(15分)
【発問2】 | 一番の項目を中心に順番と理由を発表して、その違いについて話し合おう。 |
ある程度自由な方向に進んでも構わない話し合いの場合は、指名を子どもたちに任せている。 第一発言者をAさんが指名し、その後相互指名となる。朝の10分間の話し合い活動も同じ仕組みである。 教師も適宜、問い返しや焦点化のため、話し合いに割り込む。そのために、二人組交流の時に、意図的に指名する子どもを2,3名決めておいた。 話し合い途中の様子は以下。 |
D | 「先生」は優しいときには、1位で、怖いときには7位になる。(笑) |
T | ほう、みんな順位は違っていても、考えていることは同じなんだなあ(笑)。 |
C | ぼくは1位は「給食」。総合のホームページに載せる予定だから。 |
T | どんなことを調べて載せる予定なの? |
C | 低学年に人気のあるデザートを調べて・・・ |
C | ぼくは「給食」が2位。元気いっぱい遊ぶには必要。給食がないと元気が出ない。 |
T | 友達の意見が分かってきましたね。意見を聞きたい人はいませんか?では、B君。 |
B | たぶんに僕のランキングの1位は、これだなと言われると思うけど・・・ |
T | ちょっとストップ。みなさん、B君の1位は何だと思いますか? |
C | 「行事」か「学習」か「遊び」のどれかだと思う。どれもヤギを飼ったことに関係 している。B君は、ヤギが大好きだったからね。(数人がうなずく) |
T | ではB君、順位と理由を教えてください。 |
B | 1位は「学習」。総合学習がなければ、ヤギと出会えなかったからです。(後略) |
項目「学校」に対する意味付けの多様さを感じ取らせるため、B君の発言の部分のように、「発言ストップ」という割り込みをした。友達の思いを知ろうとする楽しさや、自分の思いが分かってもらえる気持ちよさなどが高まるし、クイズ気分で想像力や共感を高める効果がある。
また、理由を問い返し、体験活動を出させるための割り込みも行った。
4.再度ランキングして、ランキングや話し合いの感想を発表し合う。(10分)
順番が大幅に変わった子どもが5人、順番が変わらなかった子どもが10人程度いた。「D君の言った意見は、よくそんなことを思いついたなあと思った。」などの振り返りも出たりして、学校への見方は楽しくふくらんだ。
最後に、これからも折に触れて、学校のいいところ、すきなところがたくさん見付けていこうと促し、Aさんの提案にみんなで拍手を送って授業を終えた。