「みんなのなやみ」目標・努力で

道徳授業開き

【対 象】小学校5・6年

【ねらい】 貴子さんの相談について話し合うことを通して、頑張ることの意味について理解し、より高い目標を立て、くじけないで努力する意欲を高める。1-(2)

【学習内容】

(1)重松清氏が述べる「一生懸命頑張ることの意味」

        人間としての足腰が鍛えられること

        負けとその悔しさを知ること

        負けから立ち直るきっかけのストックを持つこと

        しぶとくてタフであること

(2)自分なりの「一生懸命願張ることの意味」

        自分なりの目標

        自分なりの頑張り度

 

【資 料】『みんなのなやみ』(重松清 理論社)

    この本は、理論社のホームページの『10代の悩み相談室』コーナーにメールで寄せられた質問・相談に対して、重松清氏が回答したもの。取り上げるのは、5章「大人の常識って正しいの?」の中の「『がんばる』意味」の相談

「まじめに悪いことをせず、勉強しろとよくいわれるけれど、不安定なこの時代、本当にそうしたからって幸せになれるんでしょうか? 一生懸命がんばって意味はあるんですか?」(P.160 1-5行)の問いについて、重松氏が回答した文章をもとに資料を構成する。

 

【学習過程】(60分授業)

@        相談を読んで話し合う。(15分)

        発問1「貴子さんの相談について、重松氏の回答を読む前に、みんなで話し合いましょう。あなたなら、どう答えますか?」

        (1)同じ悩みをもっており、特に回答が思い浮かばない(分からない)とする子ども (2)頑張ることに意味はないとする子ども (3)頑張ることに意味があるとする子どもに分けて、考えを出させる。

        ここで、しっかり個人個人の考えを持たせておかないと、あとの重松氏の回答を受け止めることができない。みんなで合意するような話し合いではなく、論点の整理をする話し合いとする。NHKのしゃべり場のような雰囲気が出るといい。

        (2)の「意味がない」と(3)の「意味がある」の理由を出させ、明確にする。この理由は、重松氏の回答の中にも出ている。

        「話し合うことそのものに乗れない子ども」が出ないようにするため、貴子さんの思いを自分の具体的な生活や思いに重ねられるよう、学級の子どもの「日記」や「日頃の行動」(あるいは、事前にアンケートを取って自分なりの考えを持たせておく)などを意図的に紹介しながら、一人ひとりの子どもが「自分事」として捉えられるように工夫する。

 

A        重松氏の回答を聞いて、話し合う。(25分)

        発問2「重松氏の回答を整理してみましょう。」

        重松氏の回答をみんなで読む。国語ではないので、教師が主導して、重松氏の考えを要約する。@人間としての足腰が鍛えられること A負けとその悔しさを知ること B負けから立ち直るきっかけのストックを持つこと Cしぶとくてタフであること

        それぞれに具体的な例(例えば、野球の練習)が出ているので、それを通して、納得できるように教師から話をまとめる。

        発問5「重松氏の回答についてどう思いますか?」

        導入で話し合っている「自分たちの回答」と「重松氏の回答」の共通点や相違点を中心に「納得できる」「納得できない」という二つの観点から、子どもたちの意見を発表させ、その理由を発表させる。

        大切なのは、「理屈として回答の意味が分かること」と「体験として回答の意味が納得できていること」を子どもたちに意識させることである。そのために、発言毎に(しつこくない程度に)「その点は、頭では分かるの?」や「そんな経験が既にあったの?」などと発言者及び学級の仲間みんなに問い返しながら進める。

 

B        自分の回答を書く。(20分)

        貴子さんへの回答を自分なりに書く時間を設けて、授業を終える。「自分の経験をもとに書くこと」に留意させる。

        感想を学級通信などに載せて、保護者に配付することで、子ども同士の意見の交流を図る。また、学校図書館に数冊購入してもらい、朝の読書などで全員が読むようにする。加えて、保護者の方々にも読んでいただき、その感想を再度、学級通信などに載せる。

        これらを通して、「頑張ることの意味について理解し、より高い目標を立て、くじけないで努力する」について教師、保護者、子どもたちの理解を一層確かにする。