みすゞ「打出の小槌」で明るい心

【対 象】 小学校3・4年生(以上なら中学校でも)

【ねらい】 「私」の気持ちについて話し合うことを通して、自分の将来についての考えをまとめ、よりよく生きようとする心情を高める。1-(5)

【学習内容】

(1)「私」の気持ち

        自分を楽しませるもの(者・物)と自分が成長すること(自分が楽しむ・努力すること)

        二つの違い

(2)自分がよりよく生きることのよさ

        今後の暮らし方・生き方(直近)

        夢(将来)

 

【資 料】「打出の小槌」金子みすゞ

http://www.kinokuniya.co.jp/01f/misuzu/ABOUT_M/UTA/UTA.html

 

【学習過程】(45分授業)

@        「打出の小槌」を読んで、感想を出し合う。(10分)

        発問1「隣同士で感想を言い合いましょう。」

        金子みすゞの代表作を1,2紹介した後、「今日は、あまり知られていない童謡を用いて、これらからの皆さんの生活(将来)について考えてみましょう。」と言い、「打出の小槌」を紹介する。一斉音読、一人ひとりの音読など4,5回声に出して読みあった後、隣同士で簡単に感想を交流する時間を設ける。

        一寸法師の話を知らない子どもが多いなら、教師の方から簡単に説明が必要。案外、最近は知らない子どもが多いかも知れない。小槌の模型などを準備するのもよい。

 

A        「私」の気持ちについて話し合う。(25分)

        発問2「はじめはどんなものを出したいと思ったのですか?」

        (1)羊羹、カステラ、甘納豆 (2)姉さんと同じ腕時計 (3)唄の上手な鸚鵡と赤い帽子の小人による踊り の3つに分けて板書。(1)食べ物 (2)身に付ける物 (3)見る物聞く物(楽しい出し物)とラベルする。時間があるようなら「みんなならどんな物が食べたい?」や「身に付けたい?」などと問い返して想像を広げさせるのがよい。

        発問3「私は、それより何がしたいと思い直したのですか?」

        (4)背丈を出して一ぺんに大人になること と板書。(1)(2)(3)の3つと対照させて記述する。

        発問2・3は、主発問4の前に行う段取り発問(確認読み)。高学年なら、4をやりながら2・3の内容を読む方が自然。

        発問4:「(1)(2)(3)(以後右)と(4)(以後左)の違いはどんなことだろうか。」

        主発問である(類別後の対比)。@ お金で買えるものと買えないもの(右の(1)(2)はお金で買える。左は、背の高さや時間なのでお金で買えない。)A 今、周りにあるものと今すぐ手に入らないもの(右(1)(2)は、世の中にあるけど、右は、今すぐどうかしようと思ってもどうにもならない・・・) Bはっきりしている物とよく分からないもの(右の(1)〜(3)は、ほしい物がはっきりしていて、それぞれに楽しい。でも左の「背」や「年齢」はそうなったからと言って、本当に楽しかったり、よかったりするかどうかは分からない) C自分を楽しませる物と自分が努力して楽しむもの(「楽しい」の意味が違うけれど、右は、食べたり身に付けたり、見たり聞いたりして自分を楽しませてくれる物だけど、左は、そうなって自分が努力しないと本当に楽しくなるかどうかは分からないもの。逆に苦しくなる(楽しくなくなる)かも知れない。それでも、「私」はそうなりたいと望んでいる。)

        発問5(問い返し):「『私』は、大人になってどうしたいのだと思いますか?」

        童謡の中には何も書いていないので、子ども一人一人の「自分の気持ち、自分の大人像」を出し合う。あくまでも、「私」の大人像として、話し合いを進め、個人的な「大人像」「将来の夢」などについては、次の学習活動で明確にさせる。

        (1)子どもにはできない、いろいろな楽しいことをしたい。 (2)自分のなりたい職業について、一生懸命働きたい(お金儲けをしたいなどもこれに入る)。 (3)自分のやりたいことにいろいろチャレンジしたい。職業も趣味も、いろんなこと などの発言が出る。

        それらをまとめながら、「よりよく生きたい、納得して生きたい、自分のしたいことをしっかりやっていきたい」など「今後の暮らし方や生き方、将来の夢」の大切さを感じ取らせる。

        また、それらは、打出の小槌のような魔法で得られるものではなく、自分の努力・やる気によって得られることをきちんと(教師による板書や言葉)で伝える。(もちろん、そのような趣旨の発言をする子どもがいれば、それを取り上げ、みんなに広げる方がいい)

 

B        これからの生活について自分の考えを書く。(10分)

        発問6:「これからの生活、また、将来の夢について思うことを書きなさい」

        具体的な職業や行動でも構わないし、心がけなどの心情的なことでも構わない。書けなくても、考えるだけでも意味がある。具体的に書けない場合は、「この授業で感じたこと、思ったことを書きなさい。」と指示する。それでも書けない場合は、「今日の授業で、心に残っている人の意見を書きましょう。」と指示する。それでも書けない場合は、「打出の小槌をプリントに写しましょう。」とする。