「チョッちゃんは、もうじき100歳」で

母の愛情

【対 象】 小学校5・6年生

【ねらい】 トットちゃんに対するチョッちゃんの気持ちについて話し合うことを通して、子どもを思う母親の愛情の深さを改めて感じ取り、父母を敬愛しようとする心情を高める。4-(5)

【学習内容】

(1)チョッちゃんがロッキーやエンドウさんの死を隠した意図

        トットちゃんを悲しませたくないという母の愛情

        娘を悲しませたくないという母の変わらない愛情

(2)親らいただいている愛情等に対する感謝の心情

        日常生活での親からの愛情(やさしい気持ち)

        病気や怪我などの時の愛情

        それらに対する感謝の気持ち

 

【資 料】『チョッちゃんは、もうじき100歳』

(黒柳 朝  聞き手・黒柳徹子  主婦と生活社)

 

チョッちゃんは、もうじき100歳

 

  (1)【P.37最終行からP.38最終行】

     トットちゃんが鎌倉で夏休みを過ごして帰ってきたら、飼っていた犬のロッキーがいない。母・チョッちゃんは、「いなくなったの。ずいぶん探したのよ、遠くまで行ってみたし、みんなにも聞いてみたけど、どこにもいないの。」と言って、決して死んだとは、言わない。トットちゃんは、母のやさしい気持ちが充分に分かったから、下を向いたまま「どこに行ったのかなあ」と言ってそれ以上、何も聞かなかった・・・

  (2)【P.39最初の行からP.40 5行】

     トットちゃんが50歳くらいになって(つまり、黒柳徹子さん)、飼っていたエンドウさんという犬が死んだときにも、母は「本当にいなくなったのよ。保健所にまで聞いたのよ、ご近所にも。・・・」(1)と同じような口調で話す。

 

【学習過程】(45分授業)

@        (1)の場面を聞いて、話し合う。(15分)

        発問1「母が『死んでしまったの』とは言わないで、『どこにもいないの』とトットちゃんに話したのは、どのような考え(気持ち)からだろうか。」

        「なぜか?」ではなく「どのような気持ち(考え)からか?」と尋ねると、単なる理由ではなく、母の心情が出てきやすい。

        「トットちゃんが犬のロッキーを大変好きだったので、悲しませたくないという母心から」などの意見が出る。同じ意見でもその子どもなりの表現をひきだし、幅広の意見にする。

        「もし、『死んでしまったのよ』と言っていたら、トットちゃんはどんな気持ちがしただろうか?」などと問い返してもよい。なかなか言葉になりにくい内容だけに、よく似た経験などを想起させるなどして、しっとりと授業を進める。

 

A        (2)の場面を聞いて、話し合う。(20分)

        発問250歳頃の黒柳徹子さんに対して、母が『どこにもいないの』と話したのは、どのような考え(気持ち)からだろうか?」

        (1)と同じ意見が出る。確認のため(1)の時の意見と並べて板書する。

        発問3「チョッちゃん(母)が、10歳の頃のトットちゃんにも、50歳頃の徹子さんにも同じように接していることに対してどんなことを感じますか?

        (1)犬の命は、相手が何歳であれ、かけがえのないものだから。 (2)チョッちゃんにとって、徹子さんは、いつまでも子ども。子どもを悲しませたくないという気持ちは、変わらないから。 (3)(1),(2)の両方が理由。など

        「親というのは、いつまでも子どもに対して、愛情をもって接している。それほど、親の愛は深い。」とまとめる。

 

B        親からいただいている愛情について書く。(10分)

        発問4:「親の愛情を感じるときについて、書きましょう。」

        (1)衣食住など、日常の何気ない生活場面について、例えば、「毎日、食事を作ってくれる」、「あれこれ世話してもらっている」など、(2)怪我や病気をしたときの看病など、特別な場面などの二通りを振り返りの観点としてあらかじめ示す。

        最後に、教師から、自分の体験を話して聞かせる。または、学級の代表のお母さんから事前にいただいておいた「子への思い」などを紹介する。学級の子ども全員に親からの手紙を準備しておくのもいい。