「はしのうえのおおかみ」でやさしさを考える

【対  象】 小学1・2年生

 

【ね ら い】 いじわるの気持ちよさとやさしさの気持ちよさの違いに関心をもち、人に親切にしようとする態度を養う。

 

【学習内容】

(1) いじわるする気持ちよさとやさしくする気持ちよさの違いを感じ取る。

(2) 自分が「意地悪する気持ちよさとやさしくする気持ちよさ」の両方をもっていることを知る。(認める)

(3) 人(友達)にしたい親切を考えようとする。

 

【資  料】『はしのうえのおおかみ』 (東京書籍)

 

   ※ 粗 筋

一本橋を渡るおおかみがうさぎと出会う。「こらこら、もどれ、もどれ。おれがさきにわたるんだ」と怖い声で、どなる。「えへん、えへん。」おおっかみは、このいじわるがとてもおもしろくなった。狐と出会っても、狸と出会っても、「もどれ、もどれ」と追い返す。

ある日、橋の上で、大きなくまと出会ったおおかみはあわてて「わたしがもどります」と言う。くまは、手を振って「ほら、こうすればいいのさ」とくまをだきあげ、うしろにおろしてやった。おおかみは、くまの後ろ姿をいつまでも見送った。

次の日、おおかみは、橋の上でうさぎにあった。あわてて戻ろうとするうさぎをやさしく呼び止めるおおかみ。おおかみは、うさぎをだきあげ、うしろにそっとおろした。

おおきみは、なぜか、前よりずっといい気持ちだった。

   

【学習過程】(45分授業)

@        資料を読み、「うさぎを追い返しておもしろくなったおおかみ」は、どんなことを考えていたでしょうか。(10分)

        「えへん、えへん」の続きをプリントに書かせてもよいし、そのまますぐに発表させてもいい。書かせない方が発表しやすいということもある。「なんでもかんでも書かせてから発表という学習方法」は見直した方がいい。

        「おれさまが、一番えらいんだぞ。だから、小さいもの、弱いものは、おれさまの後に、橋を渡らなきゃいけないんだ。」「自分が先だと気持ちいいなあ」「困った顔を見ると楽しいぞ」「おれさまは、この森で一番だ!」などなど・・・

        小さい動物に意地悪をして、自分が一番強くて偉いことを感じるのは、気持ちいいことだと考えているおおかみに共感できるようにする。誰の中にも、「自分が強いことを示すことが気持ちいい」という感覚(気持ち)があることを(いやなんだけど)認めることがここでは大切。

 

A        「うさぎをだきあげ、うしろにそっとおろしてやったおおかみ」は、どんなことを考えていたでしょうか。(15分)

        役割演技をして考えさせる事例が多い。注意しなければならないのは、役割演技をすることで、反対に子どもたちの思考が妨げられてしまったり、そもそもみんなで考える時間そのものが無くなってしまったりすることである。

        「相手のうれしい顔を見ると、自分もうれしくなるな」「くまにされてうれしかったことを自分も人にしてあげたいな」「自分もくまのようにしんせつな動物になったかな」「本当に強いのは、人に優しくできる人だ」「強い人は優しい人」という反応か。

 

B        どっちの気持ちの方がいい気持ちだろうか。(10分)

        「相手が悪い気持ちになる方が気持ちよさは小さい」「相手も自分もいい気持ちになるほうがいい気持ち」「親切にする方が難しいから、その分、いい気持ちだと思う」などの発言が出るでしょう。自分も相手もいい気持ちの方が、自分だけ威張っていい気持ちの時よりもずっといい気持ちだということを共通理解する。

 

C        いい気持ちになりたい場面を考えて、プリントに書く。(10分)

        「人に親切にする場面」と同じ意味で「いい気持ちになる場面」という言葉を使っている。

        具体的な場面を考えて、プリントに書くことで「態度を養う」ということにする。