「おにたのぼうし」ですがすがしい心

【対 象】 小学校3年生

【ねらい】 「おにだって、いろいろあるのに。おにだって……」について話し合うことを通して、美しく気高い行いに改めて気付き、よりよく生きようとする心情を高める。3-(3)

【学習内容】

(1)おにたの気持ちについて考えること

        おにたのけなげな優しい気持ち

(2)まこと君や女の子に鬼に対する見方について考えること

        鬼に対する一方的な見方

        その見方の不合理さ

【資 料】「おにたのぼうし」(あまん きみこ ポプラ社)

   粗筋

     気のいいおにの「おにた」は、隠れて住んでいる家の子ども「まこと」のために、内緒で親切な行いをしていたが、節分の豆をまかれる。おにたは「にんげんっておかしいな。おにはわるいって、きめているんだから。おににも、いろいろあるのにな。にんげんも、いろいろ いるみたいに」とつぶやき、家を出て行く。

次に隠れた家では、女の子が熱を出した母を看病していた。何も食べていない女の子のために、雪の降る外に出て行って、あたたかそうな赤ご飯と鶯色の煮豆をもってくるおにた。おんなのこは、よろこぶも、「わたしもまめまきしたい」と言う。

おにたは、「おにだって、いろいろあるのに。おにだって……」とつぶやききゅうにいなくなる。むぎわらぼうしだけを残して……

 

【学習過程】(45分授業)

@        ゆっくり資料を聞く。(15分)

        絵本を使って、ゆっくり2度読み聞かせる。

        子どものつぶやきは、共感的に受け止め、他に広げる。

 

A        女の子に「おにだって、いろいろあるのに。おにだって…」と言ったときのおにたの気持ちについて話し合う。(30分)

        発問1:「おにだって…。」の…に続く言葉を考えて発表しましょう。

        (1)(おにだって)いろいろある。いい鬼もいるんだよ。(2)(おにだって)人間と同じようにいろいろなんだよ。(3)ぼくは、優しい鬼だよ。(4)優しい鬼だから、これからも仲よくしてよ。(5)人間って鬼をみんな悪いものだと決めつけている。(6)それは、いけないよ。ちゃんとその相手を見て、いい人かどうか判断してほしい。

        発問2:おにたが麦わらぼうしだけを残していなくなったのは、どんな気持ちからだと思いますか?

        概ね(1)「自分の女の子に対する思いやりの気持ちが伝わらなくて、とても悲しく、人間との交流をやめた」とする意見、(2)「女の子のために自分が黒いまめになった」とする意見の二通りに分かれる。

        どちらの意見が正しいかは国語の時間にでも追求するとして、ここでは、まことくんや女の子に対して「美しく気高い行いをしているおにた」のよさやすがすがしさを感じ取らせるようにする。

 

B        自分の中のおにたを書く。(5分)

        発問3「今まで自分もおにたのようにやさしく温かい行いをしたことがありますか?」

        自分の中にも「おにた」に似たような「やさしく温かい行いのできる部分」があることに気付かせ、そのよさを一層伸ばしていこうとする心情を高める。