絵本「かさこじぞう」で思いやり・親切 【対 象】 小学校3・4年生 【ねらい】 「かさこじぞう」のじいさんとばあさんの行動について話し合うことを通して、自分が犠牲になって人のためにやさしくふるまうことのすばらしさに気付き、相手の立場に立って生活しようとする心情を高める。2-(2) 【学習内容】 (1)相手の立場に立って生活することの具体例 ・
自分が犠牲になる(損をする)ことによって、相手に優しくする行動があることに気付くこと ・
自分の生活の中での具体例 (2)相手の立場に立って生活しようとする気持ち ・
少しずつできつつある自分に気付くこと ・
身近な行動や気持ちのめあて 【資 料】《こどものとも》傑作集『かさじぞう』 瀬田貞治 再話 赤羽末吉 画(福音館書店) 【学習過程】(45分授業) @
友達に親切にした経験を思い出し、発表する。(10分) ※
発問1:「友達のためにした親切を教えてください。」 ※
ラベリングはしないが、次のように分類しながら板書する。(1)相手が望んでいるからというよりは、自分がしたいからしている(自分の得になる)親切 (2)自分がしたいからしている親切なんだけど、どちらかというと「お節介」(迷惑)に近い親切 (3)相手が頼んできたからした親切 (4)相手が頼んできたから、「仕方なく」した親切 (5)誰かから命令されて(例えば、お家の人や先生に「○○しなさい」と言われて)した親切 等 ※
この段階では、とりあえず、どれもそのよさを受容しながら多くの発言を得る。 A
「かさじぞう」を読んで話し合う。(25分) ※
発問2:「かさをかぶせると、六にんのじぞうさまなのでひとつたりない」「そこで、さいごのじぞうさまなには、じぶんのかぶっていたかさをぬいでかぶせて、そのままうちへかえったと」の場面のじいさんの気持ちを想像して、話し合ってみましょう。じいさんは、どんなことを考えながら、自分のかさを脱いで、じぞうさまにかぶせたのでしょうか。あなたならどんなことを考えますか?」 ※
(1)「ひとりかぶれないのでは、かわいそうだ。自分はすぐに家に着くから、自分のをかぶせてあげよう」など、一人かぶれないじぞうさんの悲しい気持ちを考えた発言 (2)「自分がかぶるよりじぞうさんがかぶる方が大切だ」など、日頃御世話になっているじぞうさんに感謝する(お礼の)気持ち (3)「いくら何でもこれだけ雪が降るなら、とっても寒いだろう」など、じぞうさんの寒さを自分のことのように感じた発言 (4)「かさがなければ、また作ればいい。これくらいなら、自分にもできることだ」など、じいさん自身のできる親切の有り様について触れた発言 (5)「ばあさんも、おなじように考えるだろう」など、夫婦で相手の立場に立ったとする発言 などに分けながら板書 ※
どれも、「自分が損をしている親切」「たとえ、自分のかさをかぶせなくても、売り物の5つのかさは、まるまるあげている(損な)親切」「自分が犠牲になって(寒い思いをして、また、売り物をただであげて)している親切」であることを共通理解するとともに、教師から特にそのすばらしさを強調する。 ※
そして、この授業の学習内容のひとつである「自分が犠牲になる(損をする)ことによって、相手に優しくする行動があることに気付かせる。 ※
家に帰って事情を話したとき、ばあさんが「そうか、そうか。かさを もってきたって、こんやの たしには ならないもの。おじぞうさまに あげて よかったな。」とさらっと言いきるやさしさ、心のゆとりにも触れ、夫婦ともに「自分たちが犠牲になって相手にするやさしさ、親切な心」をもっていることの温かさを感じ取らせる。 B
授業の感想を書く。(10分) ※
発問3:(導入時に書いた板書にもどって)「授業のはじめに書いたこれらの親切の中で、じいさんやばあさんのように『自分が相手のことを相手の立場にしっかり立って、自分が損をしてでもした親切』がありますか。」 ※
学習内容の観点から、数々の親切を見つめ直す。 ※
発問4:「相手のことを考え、自分が損をする親切をしたことがありますか。」 ※
発問3で、親切の種類について学習しているので、比較的自分を振り返りやすい。「できない自分」ではなく、「できていたけど、そんな種類の親切だとは気付かなかった」ということに気付かせることが大切である。 ※
発問5:「これから、自分が損をする親切をするとしたら、どんな親切をしていきたいですか。」とこれからの実践意欲を高める。 |