模擬授業：『がばいばあちゃん』

『佐賀のがばいばあちゃん』で「親切」の授業

教員対象で行った模擬授業の様子

　漫才コンビＢ＆Ｂの島田洋七の著書『佐賀のがばいばあちゃん』は、道徳の時間のネタになる短編がたくさん掲載されています。
　中から、小学校高学年、または中学生にわかりやすい「思いやり、親切」に関する話を取り上げました。『中学校３年生の修学旅行』にまつわる話です。

　以下は、この話を教員対象に「模擬授業」した様子です。

【ねらい】　筆者の友達久保君のしたことや気持ちを話し合うことを通して、友達や本当の優しさとは何なのかについて考えを深め、道徳的判断力を深める。

【資　料】『佐賀のがばいばあちゃん』島田洋七　徳間文庫　2004.1.15

　　　　　　　　　　　　　　　※「がばい」とは「すごい」という意味

粗筋

徳永（洋七の本名）君が中３（1965年頃）、修学旅行前のこと。同じ野球部の久保君は、お母さんの急な病気のため積み立てていた旅費を遣った。修学旅行に行けなくなった久保君のために、野球部の三年は、キャプテン徳永君の提案で、バイトをして旅費を作ることにした。

修学旅行前に旅費２万円が準備でき、遠慮する久保君に手渡し、喜ぶみんな。

しかし、修学旅行当日、久保君は来なかった。

「旅費を他のものに遣いこんだに違いない」と怒る野球部員。旅行後詰め寄られた久保君は、お金の遣い途を白状するのだが・・・

【学習過程】（４５分授業）

　①　「友達にした親切にはどんなことがありますか。」(5分)

1. 　ゆったりとした雰囲気の中、自由な発表を促す。

2. 　終末で再度使うため、類別などせず、発表順に板書していく。

②　「久保君は何に使ったのでしょうか？」(5分）

1. 　205ページ久保君の言葉「修学旅行には、はじめから行かないつもりやった。あのお金は、これ買った。」までを資料提示。そのすぐ後ろに書かれている「久保君が買ったもの」を想像する。

2. 　教職員を授業に引きつけるためにやるだけなので、短時間で切って、正解を提示。正解：「真新しいキャッチャーミットとバット、それにボール三ケース」

3. 「後輩に残そうと思って」という久保君の言葉も添えて正解を提示。

4. 筆者（徳永君＝洋七）が土下座してまで謝ったところまで読み聞かせる。

③　「久保君は、どんな気持ちから真新しいキャッチャーミットとバット、それにボール３ケースを買ったのだろうか？」(15分）

④　「あなたが、久保君だったらどうか？（10分）

1. 　立場を自分自身に移動させて、「修学旅行に行くかどうか」も、選択しに入れて、「どんな気持ちから、どうするか」について話し合わせる。（板書画像なし）

2. 　「判断力を深める」というねらいは、この活動で保障したとする。

⑤　「久保の穏やかな笑顔を見ながら、俺は、いつだったか聴いたばあちゃんの言葉を思い出していた。『本当の優しさとは、（　　　　　　）』にあなたは、どんな文を入れますか？正解はありません。自分が今日の授業で学んだと思うことを書いてみましょう。」(5分)

1. 　正解は示さず、一人一人が文を完成する。

2. 板書は以下。

⑥　「導入の親切のいろいろの中で、『自分が文にしたことに当てはまる親切や思いやりの行動』はあるかな？あなたは、そんな親切をしているだろうか？（5分）

1. 　導入の板書の中で、該当するものを丸で囲むなどするが、相手に気づかれずにしている親切というのは、そんなにないことに再度気づかせられたらいい。

2. 　自己評価を１～５で点数化すると共に、その理由を書かせる。

3. 　子ども相手の授業の時には、がばいばあちゃんの言葉は示さないが、今回は、模擬授業ということで「本当の優しさとは、相手に気づかれないようにすること」を知らせた。

最終板書と後の質疑応答の板書

心の教育研究会

※　福岡県大野城市道徳授業研修講座

※　平成１８年８月２６日（土）

※　10:10～12:00（模擬授業50分、質疑応答40分）

※　福岡県大野城市

※　大野城まどかぴあ　多目的ホール

※　教員約５０名