『しじみ』で、やさしさについて考える

【対 象】 小学校5・6年

 

【ねらい】 母の愛情について様々に考えることを通して、親の愛を感じる気持ちを耕す。

【内 容】

(1) しじみの子どもの気持ちに共感することができる。

   ・ しじみの子どもの気持ちをプリントに書くこと。

(2) 返事に込められた母親の気持ちを考えることができる。

   ・ 母親の返事を想像すること。

   ・ 母親の気持ち(思いや願い)をプリントに書くこと。

 

【資 料】『ひとくち童話(1)』東 君平:作  1995年 フレーベル館

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   ※ 概 要

     しじみのこどもが広い海に出て、「もうじき、『あさり』になれる」とお母さんに手紙を書いた。その後、今度は、「もうじき、『はまぐり』になれる」と手紙を書いた。

     おかあさんは、「『しじみ』にもどってかえっておいで」と返事を出した。

 

【学習過程】(45分授業)

@        「もうじき はまぐりになれます」までを読んで話し合う。(10分)

        発問1:「しじみの子どもは、どんな気持ちで広い海に出たのでしょうか。」

        「大きくなりたい」「立派な貝になりたい」「大きくなって、お母さんを喜ばせたい」などを自由に発表させる。

        一生懸命頑張ろうとしているしじみの子どもの気持ちを共通理解する。

        「みなさん(あなた)は、どんな人になりたいですか」や「大きくなったら、どんなことをしたいですか」と、適宜問い返して、自分の夢や希望を思い出させ、しじみの子どもと共通点があることに気付かせたり、身近に感じさせたりする。

 

A        母親の返事を想像し、話し合う。(15分)

        発問2:「しじみの母親は、何と返事を書いたでしょうか。」

        @「残念ながら、しじみはあさりやはまぐりにはなれないのよ」などに代表される「事実を伝える意見」、A(事実はともかくとして)「頑張って大きくなってね」などに代表される「励ます意見」、B「しじみのままでいいんだよ」に代表される「そのままを受容する意見」に分けながら板書する。

        それぞれ、理由を問い返し、明確にすることで、分類した観点を分からせるとともに、そのように返事を書く母親の気持ちを感じ合う。

        Bとよく似た意見だけど、正解は「しじみにもどってかえっておいで」であることを伝える。

 

B        母親の子どもを思う気持ちについて話し合う。(10分)

        発問3:「『しじみにもどってかえっておいで』という返事が、それまでの@〜Bの返事より素晴らしいのは、なぜか?」

        母親の返事(C)は、それまでの@〜Bの返事と比べてどう違うのか話し合う。例えば、二人組で、簡単な役割演技をして、感じ方を体験するなどの工夫をする。

        @「しじみはしじみ、自分らしさを大切にして大きくなってほしい」、A「たとえはまぐりになれなくても構わないから、息切れして戻りたいと思ったら遠慮なく戻っておいで(退路はある・・・)」などの意見が出るか・・・

        @にしろ、Aにしろ、母親が子どもを思う気持ちが十分表れていることを共通理解する。

C        自分の生活の中で親の愛情を感じる時をノートに書く。(10分)

        発問4:「何気ない親の言葉や行動が、自分を心配したり励ましたりしてくれていることがあるのではないかと思います。みなさんの生活の中で、親の愛情を感じることを思い出して、ノートに書いてみましょう。」

        なかなか思い出せるものではないので、書けた子どもの例を次々に発表させて、広げていく。

        親の言葉や行動の裏に愛情を見付けられる生活をしていこうと投げかける。

        教師の経験を話して聞かせることもよい。