『リュックのりゅう坊』で参観日の道徳授業
元気で楽しい「リュックのりゅう坊」のお話です。
泣くことの価値、意味について、子供たち、そしてその親たちに考えてもら
う授業です。「涙は、元気の素」「泣くことは心を元気にする行動」であること
を分かってもらいたいと考えて、この授業を構想しました。
当該の本は、以下です。是非一読下さい。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4894234289/250-5019791-6434622
【対 象】 小学1・2年生(低学年)
【ねらい】 (泣くことで)明るく伸び伸びと生活しようとする心情を育てる。
【お家の人のねらい】(参観授業なら・・・)
子供をしっかり抱きしめたり、子供が真剣に泣くことを手助け
したりして、子供の成長を促そうとする態度を養う。
【資 料】 『リュックのりゅう坊 @ ともだちいっぱい 』
工藤直子 作・長 新太 絵 2005年4月、文渓堂
【学習過程】(45〜60分授業)
*
朝の読書や語り聞かせの時に@を一度読み聞かせておきます。
それができない場合は、60分授業にして、初めの20分は、語り
聞かせの時間として確保する必要があるでしょう。
*
この本は、4つの短いお話しでできています。ここでは、三つ目の
「あとからあとから、なみだがこぼれる日」を取り扱います。
*保護者参観の時に公開するのが効果的だと考えます。
@
「4つとも楽しいお話しですね。4つの内、一番心に残ったお話しはどれ
ですか?」 (15分)
*
全員に手を挙げさせる。それぞれのお話ごとに2,3人指名して、
理由と印象に残った場面を尋ね、再提示する。長めに時間を取り、
リュックのりゅう坊の「明るさ」「元気のよさ」などを強調し、
楽しく生活することのよさを広げる。板書で押さえる。
*
3つめのお話「あとからあとから、なみだがこぼれる日」の印象を
尋ねる。元気なりゅう坊も、涙がこぼれる日があることの不思議や
疑問を引き出す。
A
「今日は、涙がこぼれる日の話を取り上げて、話し合ってみましょう。ほ
らあなの中で目をあけているのはなぜだろうか?」 (10分)
*
「こわいゆめみて目がさめたんだ」と話者が書いていることを最初
に確認する。同時に同じような経験はないかと尋ね、子供たちの生
活とつなげる。経験を発表させてもいい。暗くならないように明る
い雰囲気で進行する。
*
そのほかにも、夜眠れないことがあった経験などを発表させるこ
とも可。でも、あくまでも楽しい雰囲気で行う。
B
「『お月さん、ぼくきた』りゅう坊は、お月様にほっぺたをこすりつけた。
とあるんだけど、このときのりゅう坊はどんな気持ちなのかなあ?同じよ
うな経験がない人もいると思うんだけど、りゅう坊になったつもりで想像
してみましょう。」 (10〜15分)
*
「ないたらさびしさがどっかにいくから、いっぱいなきたい」「お月
さんに甘えたい」「たっぷりなきたい。ないて元気になりたい」「ど
んな気持ちなのかりゅう坊にもわからない」「どんな気持ちなのかわ
からないけど、自分にもそんなことがある。」「そんなこと先生にた
ずねられても困る」等等の考えが出てくる。
*
それぞれ認めると共に、「泣くことが恥ずかしいことではないこと」
「泣くことで、元気がでることがあること」「甘えられる人がいること
はいいこと」などを共通理解する。Aと同じように、「なんだかわから
ないけど、泣きたくなるときがあった経験」を尋ねたり、「泣いた後の
気持ち」「気持ちの変化」等を発表させたりする。
*「恥ずかしがらずに泣く」「精一杯泣く」っていうことが、生活する上
で大切なことであることに気付かせる。担任の経験を語ってもよい。
*
動作化や役割演技などに慣れている学級なら、先生がお月様のお面を
かぶって、前に座り、そこへ子供が出て、りゅう坊の役を演じさせる。
○りゅう坊「お月さん、ぼく、きた」
○月 「こんばんは、りゅう坊。ここへおすわり」
○りゅう坊「あのね、お月さん」
○月 「うん。どうしたの?」
○りゅう坊「ぼくね、なんだかさびしくなったの」
○月 「よしよし」
○りゅう坊「ぼくね、なんだかなきたいの」
○月 「そうかい、そうかい。それでは、ここで、たっぷ
りおなき。そういうときは、なくのがいちばん。
たっぷりないて、さびしいのを、ぜんぶこぼして
おしまい。」
○りゅう坊「うん、そうする。ぼく、なく」・・・・
(同書、42、43ページより抜粋引用)
*
もっと、子供たち同士の雰囲気ができているところなら、二人組でや
らせてみるのも可。ただし、相当難しい。
*
参観授業で、参観に来られているお家の方との代表ペアーというのも
もっといい。全員のお家の方が参観に来られていることは通常ないの
で、代表のお母さんとその子供さんに前でやってもらうということに
なる。最も望ましい授業像。
C
「先生はね、・・・(教師の思いを語る)」 (5〜10分)
*
泣いた後、「せんべいを食べた」というとことが味噌。泣くだけでは
なく、しっかり泣いた後は、おいしいものを食べて、体に栄養を与え
ることも大切なことを伝える。
*
参観されているお家の方に、ねらいにかかわることを話す。後の学級
懇談の時でもよい。