絵本『木を植えた男』で道徳授業

 多くの人の心を打つ有名な絵本です。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4751514318/qid=1115257171/sr=8-2/ref=sr_8_xs_ap_i2_xgl14/250-0689872-4938600

http://www.stages-en-provence.com/text01.htm

 

【対 象】 中学生(または、6年生後半)

【ねらい】 この作品が自分の心を強く打つ理由を話し合うことを通して、崇

高な生き方の芽が自分の中にもあることに気付くとともに、めあて

をもってたくましく生きようとする心情を高める。

【資 料】 『木を植えた男』 ジャン・ジオノ原作、フレデリック・バック絵

寺岡 襄訳 1898年、あすなろ書房

 

【学習過程】(60分授業)

@    「作品を読みます。30分近くかかりますから、ゆったり聞いてください。

そして、後で、どこに一番感動したのか教えてください。では、読みま

す。」                                                  (30分)

 絵本を広げながら、ゆっくり読み聞かせる。OHCでもよい。遠くか

ら見えにくいので、工夫が必要。

 

A    「どこに一番感動したのか教えてください。」(15分)

    (1)初めにプリントに書かせる (2)グループで意見を出し合う など

すると意見が出やすい。

    (1)孤独に耐えながら、木を植えていること

(2)見返り(報酬)を求めず、木を植えていること

(3)カエデの苗が全滅し絶望したが、あきらめず木を植えていること

(4)初めの願いを最後まで忘れず実行していること

などが出ます。それぞれの意見に対して、@具体的な場面を問い返し

たり、Aその場面を再提示したり、B自分だったらどうかと問い返し

たりしながら、黒板に位置づける。

    どの意見も認めながら、「このようなよさに気付けるのは、みなさん

の中にも主人公と同じような「情熱」や「不屈の精神」があるからだ。

気付けたことそのものが、みなさんのよさである」とまとめる。

 

B    「実は、この話は本当にあった話のように感じるけれど、本当は作り話な

のです。エルゼアール・ブフィエという人は、実在していません。作者

のジャン・ジオノという人の創作です。『なあんだ』という人もいるかも

知れません。『こんな人、そういるはずはないよねって・・』それでも、

つまり作り話であると知っても、私たちは、この話に感動している自分

に気付きます。やはり、この主人公はすばらしい生き方をしていると。

どうして、この主人公のよさ・すごさが私たちの中にずしんと響くのか

ということに対して、新井満という作家が、次のように書いています。」

10分)

http://www.japanpen.or.jp/e-bungeikan/essay/araiman.html

に書かれていることを抜粋しながら読み聞かせます。特に、次の下りで

す。

ここで読者にはっきりと申し上げておかねばならないことがある。それはこの物語がノンフィクションではなく、フィクションであったということだ。つまり、真赤な嘘。・・・・(中略)私の考えを申し上げると、その文学作品がフィクションであるかノンフィクションであるか、そんなことはどうでもよろしい。大切なことは事実かどうかではなく、そこに真実があるかどうかだと思う。作品に描かれた真実にこそ、私たちは感動するのである。(下線:筆者)

    先ほど出し合った「感動したところ」は、「人間の真実の姿」である

ことを強調する。

    真実のある行動や生活を積み重ねていけるよう努力しようと投げか

ける。

 

C    「プリントに授業の感想を書いてください。」(5分)

    発表の時間は取らない。

    教師の思いがあれば、ここで語る。