『今日は自由行動』で権利と義務について考える 【対 象】 小学校高学年 【ねらい】 自他の権利を大切にし、進んで義務を果たそうとする態度を養う。 【内 容】 (1)「自分の権利ばかり主張して、自分が果たさなければならない義務を果たさず、それを人の責任にしてしまうことはとても醜いことである、人間として値打ちの低い行いである」ということ。 (2)今まで自分の義務を果たしていたかどうかを振り返ること。 【資 料】「今日は自由行動」(日本文教出版 5年)
【学習過程】(45分授業) @
漁師と住民にまつわる短い話を読み、感想を発表する。(10分) 「どちらの言い分が正しいだろうか?感想を発表してください。」 ※
自由に感想を発表させるが、最終的には、「どちらの立場(権利)も理解できること」「それぞれに生活がかかっているので、簡単には判断できないこと」を理解させる。 ※
合わせて「権利」」と「義務」について簡単に理解を図り、「今日は、互いの権利と義務について考えていきましょう」と学習課題を提示する。 ※
「これから読む資料の場合はどうでしょうか」と展開につなげる。 A
資料前半を聞き、知紀に誘われた良の気持ちを話し合う。(10分) 「知紀に誘われて良は何を考えただろうか?」 ※
この誘いが良に強い葛藤を引き起こしたとは考えにくい。良は、グループ行動を軽く考えていて、軽率に判断したと考えられる。したがって、さらっと発問。 ※
また、知紀は、自由行動の意味を「個人の」と考えていた節もあるし、「グループでの自由行動」だと分かっていての逸脱だとも考えられるが、発問が単純だったので、このあたりへは話がいかなかった。 ※
子どもの反応は、板書写真参照。「班長やグループのメンバーに悪いな」と思いながらも、軽率に誘いに乗ってしまった主人公の心情を共感的に理解させた。 ※
「共感的に」とは、「良の気持ちもわかるような気がするな」「自分も同じ立場なら、自分が見たいところを好きなだけ見たい」と感じ取らせることである。結局授。業の様子として、教師が「そんな気持ち分かるよね」などと子どもたちに語りかけ、子どもたちがそれに「うなずく」という感じ。 ※
「こんな経験はあるか」と尋ねたいところだけど、終末で同じ発問があるので、ここでは行わない。 B
資料後半を聞き、だまってうつむく良の気持ちを話し合う。(15分) 「良は心の中でどんなことを考えていただろうか。」 ※
子どもの反応は、板書写真参照。 ※
「班長が悪い@」(これは、良らを探していてプラネタリウムに入らなかった班長が悪い、と考えているらしい)は、論外。(しかし、案外こんなことを考えてしまう子どもは多いのかも知れない) ※
「知紀のせいだA」や「ついて行った自分も悪い」も、責任を感じていない典型。 ※
このような@Aの考えと「班のみんなごめんB」「迷惑をかけたC」などの意見を対比させて、「相手の気持ちを考えているのはどちらか」、「人として値打ちが高い思いはどちらか」などの発問で、よりより価値に改めて気付かせる。(あまりにも直截な問い方だけど、ここは敢えてそう尋ねる。) ※
また、同時に、@やAの考え(@はあまりないけど)を思わずもってしまう人間の弱さや醜さにも気付かせることが大切である。ここは、教師からそう投げかけるしかない。「人間とは弱いもので、自分が悪いと思っていても、つい、自分の権利ばかり主張して、それを果たさなかったことを人の責任にしてしまうものだ。それが人間の弱さであり醜さだ。そんな部分を少しでも少なくしていきたいね。自分の義務をきちんと果たせる人になりたいものだ、その上で、自分の権利を主張できるようにしたい」と・・・(これで価値を押さえたこととする) ※
本時の「プラスワン」(自己評価観点、または、鏡、または、学習内容とも言う)は、『自分の権利ばかり主張して、自分が果たさなければならない義務を果たさず、それを人の責任にしてしまうことはとても醜いことである、人間として値打ちの低い行いである』である。 C
今まで義務を果たしていたかどうか、過去を振り返って、今後の課題を書く。(10分) 「自分の中の良を探してみましょう。今まで自分が良だったことはありませんか。また、知紀だったことはないか。」 ※
プリントに書くだけにする。なかなか思い出せないものだけど、思い出そうとする行為そのものが大切だと考えて、時間を取る。 ※
「これからも自分の義務をきちんと果たし、人に迷惑をかけないようにしよう。また、義務を果たせなかったときには、少なくとも果たせなかった理由を人のせいにしてしまわない人になろう」と再度話して聞かせる。 ※
「今後の課題」は「決意表明」的に「○○したい」や「○○しないようにしたい」などになることが多い。あまりいい方法ではないけれども、今回は、それを敢えて書かせてみた。 |