絵本『いのちのまつり』で命の授業

 話題の本。一読の価値ありです。

 

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【対 象】 小学1・2年生(3・4年生でも使えます)

 

【ねらい】 命のつながりについて話し合うことを通して、生きることを喜び、生命を大切にする心情を高める。

 

【資 料】 『いのちのまつり 「ヌチヌグスージ」 』

作:草場 一壽  絵:平安座 資尚 2004年10月

          サンマーク出版(2005年3月5刷)

粗筋

コウちゃんが、お墓(沖縄独特の形をした墓)参りに来ました。親戚中が集まって、ご先祖様に「ありがとう」を伝えるためです。

 そこにオバアがやって来て、コウちゃんに「ぼうやにいのちをくれた人は誰だね〜?」と尋ねました。「それは・・・お父さんとお母さん?」と答えるコウちゃん。オバアは、「いのちをくれた人をご先祖さまと言うんだよ」と教えてくれます。

 「ねえ、おばあさん、ぼくのご先祖さまって何人いるの?」コウちゃんは、指をおって数えてみることにしました。

すると・・・

 

     資料を一度に全部読み聞かせた後学習に入るのではなく、場面ごとに区切りながら提示して、学習を進めます。

     子どもをコウちゃんの立場に立たせ、おばあちゃんとの会話を楽しませながら、学習を進めます。

     お墓参りの様子が描かれていますが、これはお墓参り(ご先祖供養)の一つの形態にしか過ぎないので、子どもたち一人一人の家の習慣等を問うことは避けた方がいいでしょう。

 

【学習過程】(45分授業)

 @ 「男の人がサンシンをひいて、みんなが踊り出しました」とありますがこの人たちは、いったい何をしているのでしょうか? (15分)

1.       この場面まで読み(次のページを開かずに)発問します。(後も基本的に同じです。)

2.       先に、「おもしろい形をした石のお家は、だれの家なのでしょうか?」と問い、想像を広げてもいいでしょう。

3.       「サンシン」とは「沖縄県および奄美諸島で用いる弦楽器。三味線を小ぶりにした形で、両面に蛇皮を張った木製の胴に棹(さお)をつける。ふつう三本の絹糸の弦をわたし、角(つの)製の爪形の義甲を人差し指にはめて弾く。一四世紀末に中国の三弦が伝わったものといわれ、のち日本本土に渡って三味線の母胎となった。蛇皮線(じやびせん)。」です。

4.       正解がどうあれ、「石のお家の前」が「大勢」で、「楽しそう」で、「大にぎわい」だという様子を押さえます。

5.       続きを読んで、「おもしろい形をした石の家」が「お墓」であること、「陽気に踊っていた」のは「ご先祖さまに『ありがとう』を伝えていた」のだということを知らせる。(これは沖縄の慣習であり、いろいろなお墓参りがあることも軽く押さえておく)

 

A 「みなさんにいのちをくれた人は誰ですか?」(10分

1.       コウちゃんの立場に立たせて、一センテンスごとに子どもたちに考えさせながら進める。

2.       「お父さんとお母さんだね」と確認した後、「命をくれた人=ご先祖さま」と板書する。(お父さんまたはお母さんがいない子どもがクラスにいる場合は、ここを軽くするか、とばしてもいい)

3.       「おじいさん、おばあさんもご先祖さまだよね。おじいさん、おばあさんを生んだひいおばあちゃんもご先祖さまですよね。」と資料を読み進めながら、子どもたちのつぶやきを拾う。

4.       コウちゃんのひいおばあちゃんに対する回想の部分をゆっくり読み聞かせながら、子どもたちのつぶやきを拾い、広げる。

5.       例えば、「僕にも、やさしいおばあちゃんがいるよ。〜なことをしてくれるんだよ」とか「私のひいおじいちゃんは、今、病院に入院しているけど、とってもおもしろいんだよ」とか・・・大切なのは、「祖父母」「曾祖父母」のやさしさや強さ、おもしろさや厳しさなどをゆったりと楽しく語り合うということ。先祖を実感するのは、このような実際に接したことのある人に対する自分の気持ちを確認することなのだから。

6.       不幸にも最近、曾祖父母や祖父母を亡くした子どもがいて、その子どもがそのことを語ることに抵抗がないようなのなら、少し時間をとって、その時のことを話させてもいい。

 

B 「みなさんのご先祖さまって何人いるの?」(10分)

1.       「実際に数えてみようか?」と教師がコウちゃんと同じように指を折って、数える。みんなまねを始めるけど、だんだん多くなりすぎて、正確に人数を数えることができなくなってくる。

2.      「じゃ、みんなで一緒にかぞえてみようか?」と投げかけ、絵本18,19ページを開いて、「そのまた上に、32人」まで読む。

3.       ここはリズムよく、20,21ページを開き「1000人くらいかなあ?」と進め、「この一番上に小さく書かれたご先祖さまにもお父さん、お母さんがいるはずだから」といいながら、更に22,23ページを開く。

4.      「100万人くらい?」まで読み、「数え切れないご先祖さまが誰一人欠けても、みなさんは生まれてこなかった、と言うことさあ〜。」「みなさんのいのちは、ご先祖さまのいのちでもあるわけさぁ〜ね」というおばあちゃんの言葉を読み、板書する。(または、短冊に書いてきたものを黒板に添付する)

5.      じっくり絵を見せるといいでしょう。低学年だから、一生懸命数えようとする子どももいるでしょう。それはそれで、いい姿だと思います。

 

C 「このお話しを読んで、考えたり話し合ったりして、感じたこと思ったことを自由にプリントに書いてみましょう。」10分)

1.      「いのちは目に見えないけれど、ずっとずっと、つながって行くのさあ〜」を板書。

2.      26ページ、27ページをゆっくり読み聞かせて、「みなさんの後ろや空にも、同じようにたくさんのご先祖さまがいらっしゃるかも知れませんね。」とまとめ、感想を書く活動に移る。

3.      手を振るときの「コウちゃんの気持ち」を想像して、発表し合ってもいい。コウちゃんの気持ちに自分の気持ちが重なって、発表しやすいかも・・・

4.      コウちゃんと同じように、空に向かって手を振ってみてもいい。

5.      しばらく板書した短冊は、教室掲示しておく。絵本も自由に読むことができるようにしておく。