副読本『駅前広場はだれのもの』で「勤労」の授業

 久しぶりの副読本教材。4−(2)勤労・奉仕の資料ならおおよそどの資料でも使える「ネタ」です。

 途中の理屈や最後のオチの関係で、高学年でないと実施できません。

 

【対 象】 小学5・6年生

 

【ねらい】 広場の清掃をした人たちの気持ちを話し合うことを通して、「働くとは、『傍(はた)を楽にする』ことでもあることに気付き、進んで働こうとする意欲を高める。

 

【資 料】 『駅前広場はだれのもの』東京書籍 5年

粗筋

最近、駅前広場が汚れ、自転車もたくさん放置されているのを心配して、子供会で掃除をすることを提案した6年の洋子さんと5年の私。

「紙くずは散らかす人が悪いんだ。」「人のためにやるなんて・・・」という反対もあったが、子供会の世話をするおじさんが、「この町のためじゃないか。おじさんたちも一緒にやろう。」と応援してくれた。

こうして、広場の清掃は、夏休みの間、毎週、火曜日と金曜日に行われるようになった。ブリキに白いペンキをぬり、その上に字を書いて看板を作り、『ここに自転車を置かないでください。』などと書いて取り付けもした。

近頃では、置かれている自転車もだんだん少なくなってきているようだ。

 

【学習過程】(45分授業)

 @ 「普段の掃除の時、どんな気持ちでやっていますか」(10分)

1.       一般的な導入です。終末と対応しているので、少し時間をとって、普段の子どもたちの気持ちを出させます。

2.       @面倒だなという気持ち Aいつも同じ所だと飽きてしまうこともある B好きな掃除場所や道具だったら、楽しくできる。教室より外庭の方が好き。道具は、ほうきは好きだけど、ぞうきんはきらい。特に冬。Cきれいになったら、うれしい。気持ちいい。 D一緒にやる人が仲良しなら楽しいっていうのもあるかな。 

3.       教師は、一人ひとりの気持ちを素直に受け入れ、端的に板書する。

4.       「はたらくって、価値あること、すばらしいこと(きれいになるなど結果がでるととってもうれしいこと)なんだけど、きちんとやることはとてもたいへんだよね」とまとめる。

 

A 「洋子さんの提案を反対した人たちはどんな気持ちだろうか。」(15分

1.       資料中にある「紙くずは散らかす人が悪いんだ」「駅前広場に、自転車を置かなきゃいいんだ。」「人のためにやるなんて・・・」などの発言が出る。

2.       「反対した子どもの心の奥底を想像して、発表してよ」と、あくまでも資料中の人物の心情を徹底して想像させる立場から、子どもたちを追い込むことにする。

3.       そして、資料に書かれていない @「そもそも子供会でそんなことをやる必要があるのか?」 A「大人が汚して、子どもが掃除するなんておかしい」 B「自分たちだけじゃできないのではないか?」 C「危険なのではないのか」 D「そんな面倒なことはしたくない。」 E「いやなものはいや。」などもっとつっこんだ意見を引き出す。

4.        @、Aは筋論。B、Cは実現可能性。DとEは本音?

5.       類別して、働かない理由は、いろいろある、ってことに気付かせる。

 

B 「結局やることになったのだけど、それはどうしてかな?」(15分)

1.       A「世話人のおじさんたちが一緒にやろうと応援してくれた。」 B「この町のためじゃないかと、おじさんたちが投げかけた」 C「看板を作ってとりつけたらいい、と光男君が賛成した」の3つを引き出す。

2.       Aは大人の助けであるから、B、Cの実現可能性を高めた。Bは、この町に住んでいる以上、駅前掃除の権利も義務もあるらしく、@、Aに代わって、筋が通った。そして、Cの活動は、単純に掃除をするだけではないので、男の子たちの興味を引いた。結果D、Eの理由がつぶれたことになった、とたまには、知的に資料を分析して、「駅前掃除をすることに至った経緯をみんなで把握する」

3.       結局、「やる気は、筋や実現可能性や活動の魅力から、生まれる」とまとめる。(これは、道徳か? との疑問も生まれるが、こういうのもたまにはいいかも・・・)

 

C 「進んで働こうという気持ちは、T やらなければならないという立場や理由(上で言うとことの筋のこと)、U できるという見通し(同、実現可能性のこと)、V 楽しさ(同、魅力ある活動)でできていることがわかったよね。でも、もう一つ、あるんだけど、それは何だと思う?」5分)

1.       働く気持ち=やらなければならない立場や理由+できるという見通し+楽しさ+(  ?  )という式を板書する。

2.       これは、教師からの説話をするための前ふりの発問なので、本気で考えさせる必要はない。

3.       「実はね、働こうという気持ちはね、「傍を楽にしてあげよう」「傍を楽しくしてあげよう」という気持ちをもつと、一層高まるんだよ。傍を楽にする=傍楽=はたらく=働く、傍を楽しくする=傍楽=はたらく=働く(板書)だものね。これからは、掃除の時に、『よ〜うし、今から、回りにいる人(傍にいる人)を楽に、楽しくしてあげるぞ!』ってつぶやくといいんだよ」