『佐賀のがばいばあちゃん』で「親切」の授業 漫才コンビB&Bの島田洋七の著書『佐賀のがばいばあちゃん』は、本当にいいです。この手の話に私は、とっても弱いんですね。 道徳の時間のネタになる短編がたくさん掲載されていますが、今回は、小学校高学年、または中学生にわかりやすい「思いやり、親切」に関する話を取り上げました。 『中学校3年生の修学旅行』にまつわる話です。 【対 象】 小学5・6年生〜中学生 【ねらい】 筆者の友達久保君のしたことや気持ちを想像することを通して、友達や本当の優しさとは何なのかについて考えることが出来るようにする。 【資 料】 『佐賀のがばいばあちゃん』島田洋七 徳間文庫 2004.1.15 ※「がばい」とは「すごい」という意味
【学習過程】(45分授業) @ 「友達にした親切にはどんなことがありますか。」(5分) 1.
ゆったりとした雰囲気の中、自由な発表を促す。 2.
終末で再度使うため、類別などせず、発表順に板書していく。 A 「久保君が遣ったものは何だと思いますか。そしてそれはなぜ?」(10分) 1.
205ページ久保君の言葉「修学旅行には、はじめから行かないつもりやった。あのお金は、これ買った。」までを資料提示。そのすぐ後ろに書かれている「久保君が買ったもの」を想像する。 2.
「お母さんの治療費に遣った」という意見は必ず出るので、目立つところに板書。それ以外は、まとめてどんどん板書。 3.
理由は、BとCでの思考を確かにするために考えさせるので、ここでは、深入りしない。共感的に聴く程度。 4.
クイズではないので、適当なところで切って、正解を提示。正解:「真新しいキャッチャーミットとバット、それにボール三ケース」 5.
「後輩に残そうと思って」という久保君の言葉も添えて正解を提示。 B 「治療費と野球道具の違いは何?」(5分) 1.
治療費だったら、お金を自分のために遣ったことになるのだから、修学旅行に行くのと同じ。野球道具に遣うのだったら、大切な後輩のためになる上に、バイトした友達の気持ちを無にすることもない。 2.
野球道具と対立させるのは、何も「治療費」でなくてもいい。Aの話し合いで、多かった反応で、しかも自分の(あるいはそれに準ずる)ものに遣ったのなら・・・ C 「筆者(徳永君=洋七)が土下座してまで謝ったのはどんな理由からか。(10分) 1.
資料206行8行目「『ごめん、ごめんな』といいながら、頭を床にこすりつけている」までを提示しての発問。 2.
本時のねらいに最も関連する活動なので、二人組で全員発言を保障する。 3.
資料207ページ1〜3行にある「久保に頼まれたわけでもないのに勝手にバイトして、金を押しつけて、旅行に来なかったと怒って。久保への優しさなんか、どこにもない。」の独白を提示する。 D 「久保の穏やかな笑顔を見ながら、俺は、いつだったか聴いたばあちゃんの言葉を思い出していた。『本当の優しさとは、( )』の( )に入るのは何だと思いますか?」(5分) 1.
正解は「相手に気づかれずにすること」である。 2.
Cと連続してテンポ良く。その意味からすると、学習活動は、Cと一緒になるかな? E 「導入の親切のいろいろの中で、『相手に気づかれずにしているもの』はあるかな?あなたは、そんな親切をしているだろうか?(10分) 1.
導入の板書の中で、該当するものを丸で囲むなどするが、相手に気づかれずにしている親切というのは、そんなにないことに再度気づかせられたらいい。 2.
自己評価を1〜5で点数化すると共に、その理由を書かせる。 3.
時間があれば、『同書』の第5章「一番好きで、一番嫌いだった運動会」の弁当の逸話を読み聞かせる。 |