『心のノート』を朝の会で使う 【対 象】 この事例は、小学校高学年。どの学年でも可。 【ねらい】 心のノートに関する関心を高める。 選択したページに即して、道徳的価値についての関心を深める。 「心のノート」は、各教科や道徳などの授業で使うだけでなく、広く学校生活全体で使うことができるように作成されています。 朝の活動で活用する事例とそのポイントを紹介しましょう。 1 朝の会の話し合い活動に活用 朝の会に「話し合い活動」を取り入れているところが増えています。 その活動に「心のノート」を取り入れてみましょう。 約十分間で、次のように行います。
「投げかけ」は、提案者が「みんなに尋ねてみたいこと」「困っているので解決のアイデアがほしいこと」を一分以内で話します。前者は、「テレビ番組で好きなもの」に代表されるように「好き好き」や「どっち」の話題です。後者は、「兄弟げんかの悩み」などに代表される「どうしたらいい?」が投げかけです。 話し合いは、提案者に質問をする段階を経た後、基本的に相互指名、時折、提案者も割り込みながら行われます。私のクラスは「「ピピタイマー」を8分にセットします。板書(模造紙に書くと数日の振り返りをまとめてできます)も輪番です。 一分間スピーチは、基本的に「独話」ですが、この方法は双方向の「対話」になります。「聞くこと・話すこと」の学習なので、初めは国語で指導するとよいでしょう。 さて、この「朝の会の話し合い活動」の話題に「心のノート」を活用します。 6年生の例、提案者の言葉です。
この子供は、自分の好きなページから「友達のよさ」について、みんなに投げかけています。また、同時に、そのほかの好きなページを尋ねることによって、他の「よさ」についても教えてほしいと思っています。 話し合いでは、「友達がいるから、早く学校に行きたいという気持ちになる。」「友達は大切な存在だ。」「友達に目標になる人がいる」などの発言が続きました。中学年や低学年なら、「絵やイラスト・写真」からイメージを広げての発言もあるでしょう。 そのほかのページでは、「友達」に関連づけて、「相田みつを」の「セトモノ」の書に惹かれたという発言、最後のページの「道はつづく」の詩が気に入っているという発言などが出てきました。時間が限られているので、15程度の発言数です。 教師はできるだけ子どもたちに話し合いを任せながらも、次のような点で、配慮します。
振り返りでは、直接教師が問いかけて、今日の話し合いの中で、印象に残っている友達の意見はありますか?自分の感じ方と比べてどうでしたか?を尋ねます。ここでは、話し合いの仕方の技能についても指導しますが、「心のノート」を話題にした場合は、特に、「友達の感じ方をどう感じたか」を尋ねることが有効です。 この話し合いでは、最後のページがよいと発言した子供は、「道はつづく」の詩を「悲しい」と述べました。卒業を一ヶ月後に控えていたからだと思います。しかし、この意見について、他の子供は、「これから新しい生活が始まるから、悲しいだけではなく、希望も感じる」と違いを述べます。このように、自他の意見の異同を中心に振り返りをします。 紹介した事例は、どのページについて発言してもよい「投げかけ」でしたが、一ヶ月に一、二度継続して行う場合は、月ごとに、ある程度ページを限定して、そのページに関わることを「どう感じたか」そして、それは「なぜか」、また、「その感じ方、根拠をどう思うか」について、話題にするとよいと思います。 事前に書き込んでおいたり、その話し合いをきっかけに、これから書き込むようにしたり、応用は自由自在に考えられると思います。 2 朝の会のめあて設定に活用 朝の会で、「今日の目標」設定したり、確認したりする活動をする学級もあるでしょう。 個人個人で、自由にその日やその週のめあてを決める場合は、自分のめあてに関連するページに栞やクリップ、付箋紙を付けます。そして、少し時間をとって、ページを読むことができるようにします。 また、学級全体、学校全体で同じめあてが設定されている場合は、その具体や達成の手立てなどを持たせるために、そのページを読むようにします。また、付箋紙に「自分なりの具体的なめあて」を書くことも有効でしょう。 すぐに効果が上がるなどと思わないで、継続しながら少しずつクラスの雰囲気や一人一人の見方・考え方が温かくなることを願いましょう。 |