劇的表現の工夫  

ここでは、劇的表現(動作化、劇化、役割演技)を行う際の留意点について考えてみましょう。



1 動作化(登場人物の動作を模擬・模倣させる)

 ○低学年向き。
 ○短時間。
 ○声に出して楽しむ。動いて感じる。
 ○長く動作しないので、誰でも、挑戦できる。自分の席で。全員同時も可能。
 ○なりきるための小道具(お面等)や場づくりの工夫があるとよい。
 ○やってみて感じたことを発表し合い、登場人物の心情を想像する。
 ○話し合いで確認された登場人物の心情を確かめるために再度動作化することも。


2 劇化(資料のストーリーに沿って演じる)

 ○表現が長いという意味では、動作化より上の学年。
 ○音声言語だけという場合も少なくない。
 ○ペープサート・指人形のような場合も。
 ○当然だけど、動作化や音声言語だけの劇化を積み重ねておくと、簡単。
 ○やりとりと楽しむ。相手との間(せりふ、空間)
 ○場づくりが大切。実際にはないものをみんなが「ある」として演じることも可。
 ○やってみて感じたことを発表し合い、登場人物たちの心情を想像する。それぞれの感じ方の異同を明確にする。
 ○感じ方の違いによって劇的表現の違いも出てくるので、再度行うことも。


3 役割演技(ストーリーに沿いつつも、即興的に演技する)

 ○演じ手、補助自我、観客、監督(通常は教師)。舞台、観客側(席)。
 ○演じ手は舞台の上で、役割を演じる人。演じ手の技能が高いとか低いとかといったものはない。
 ○役割演技は、関係の上で成り立つ。関係は、その時その時で様々。
 ○補助自我は、演じ手の一人。舞台の上で緊張したり、不自由になったりして、表現できない、関われない演じ手を助け、自由に表現できるようにする演じ手のこと。  教師がやることも多い。
 ○観客は、単なる見物人ではなく、演じ手と一緒に心の中で演じるようにする。こうすることで、演じ手になりやすくなる。観客は、演技を見て自分の中に共感的に起きた気持ちを出し合う。演じ手と観客に一体感があるとよい。
 ○劇化より一層自由性が増し、即興性が高い。
 ○資料のストーリーに沿いながらも、会話や動作が増える、続きを作る等。
 ○即興的な演技の後、演じ手や観客から多様な感想を引き出す。したがって、演技を中断させたり、繰り返させたりする監督(教師)の役割が重要となる。
 ○演じ手同士の役割を交代して互いに相手の心情を理解することも大切。