『13歳のハローワーク』を使って道徳の授業

 

 今回は、話題の『13歳のハローワーク』を使って、道徳の授業をすることにしましょう。

 

【対 象】 子供の反応に差はありますが、4年生くらいから中学生まで

【ねらい】職業に必要な条件を出し合い、話し合うことを通して、一人一人の職業観を高める。

【準 備】できれば、授業中一人一人に本書があるといいが、なければ二人に一冊。それも無

理であれば、事前に一人一人が目を通しているという事実が必要。

【学習過程】

@    一人一人が(または二人組で、あるいは班で)自由に本書を読む。

    少しくらいうるさくなってもいいから、楽しく読むような雰囲気を出す。

    じっくり読むもよし、いろいろなページをめくるもよし。

    事前に全員がしっかり読んでいる実態があるなら、この学習過程はとばしてもよい。

A    「どんな職業に就きたいですか?つきたい職業とその理由を発表してください。」   

(発問1・・・自分の考えを対象化する発問)

    自由に発表させ、理由の方を分類しながら板書していく。

    お金がたくさん儲かる

    かっこいい

    目立つ

    社会のためになる

    昔からの夢だった

    お家の人が勧める

    いろいろなところに旅行できる

    それが好き

    全体で発表しながら、その理由を述べ合い、一人一人の「職業観」を高める。

にこにこ、時々笑いを引き出しながら、ゆったりと楽しく話し合いをすると

いい。「○○君は、〜がとっても大切だと思うのですね。」など

    グループを○で囲み、その○と○の間に「+」の印をして、

金+かっこいい+目立つ+社会+夢+家+旅行+好き・・・・

のように「足し算」に表した後、次のように問う。

 

 B「職業はこれら全てを満足することができると一番いいので、+の記号を書きました。

でも、この式は、本当に職業を選ぶ理由を表す式としては、まだ、不十分です。

×の記号を付け加えて、職業を選ぶ理由として最もふさわしい式を完成してください。」

   この発問は、

  「どれが一番大切だと思いますか?」という発問に変えてもいいです。

   後者の発問の方が子供の食いつきはいいです。前者はなかなか答えが出ません。

6年生、中学生でも難しいでしょう。あまり時間を取らないでさっさと切り上げて、

Cに進みましょう。

(発問2・・・自分の考えを深める発問)

    できた人から、前に持っていって、先生に見せるのもいい。

    できた友達同士で見せ合うのもいい。

C    先生から伝えたい式を示し、「職業観」を熱く語る。

(ア)                  伝えたい式↓

(金+かっこいい+目立つ+社会+夢+家+旅行)×好き

(イ)                  「帯にあるように『好きで好きでしょうがないことを職業とする』ことが

大切なんだね。その『好き』を見つけるために勉強したり、遊んだり、

日々を生活したりしているんだね。」

『なるための職業から、するための職業』という発想の転換が必要なん

だよね。『すきなことをする』ための仕事・職業ということだな。なるん

じゃなくてするんだ、仕事って言うのは。なったところで終わる仕事では

なく、就いた後ずっとし続けるのが仕事なんだね。だから、好きでなけれ

ばだめなんだよねえ」と締めくくる。

(ウ)                  時間があれば、再度、本書を読む時間を取る。

 

【参考】○「幸せとは何か」 野口芳宏氏模擬授業

○「人生はかけ算だ」 『326 なかむらみつる作品集』

マガジンハウス 1998年所収