葛藤の場面を扱うときの留意点1,2,3 |
【問題意識】
よくある授業のスタイルとして、「強い迷い」(俗に葛藤などと言いますが・・・)の場面を取り扱うものがあります。どのような点に留意して授業化すればよいのでしょうか? 留意点を考えてみることにします。
@ とるべき行動の数と内容を明確にする。 |
一般に「迷う」という場合は、とるべき行動が複数ある場合に起こります。留意点の第1は、「とるべき行動がいくつあるのか」を明確にするということです。
通常、二つの場合がほとんどです。「やるべきか、やらぬべきか」です。その中間と言うこともありますが、それとて、その二つが元になっているという意味で「二つの場合」の仲間だと言えるでしょう。とるべき行動がいくつあるかで、授業の進め方がずいぶん違ってきます。二つが三つになるだけで、時間も取り扱う理由や根拠などもとっても多くなります。それぞれの中間というものもぐんと増えるからです。
A 関連している道徳的価値の数と内容を明確にする。 |
次に重要なのが、とるべき行動の根拠と「道徳的価値」の関連についてです。一つの行動でもその根拠となる考えが複数の道徳的価値に関連していることもあります。@とAを明確にして、それぞれの関係を授業者なりに整理しておくことが必要です。
これらは、顕著な事例ですが、これらを事前にしっかり捉えておくことが必要だと思います。
B 行動と価値が子どもたちに明確になるように授業化する。 |
当たり前のことですが、授業では、行為と価値の関係が明確に捉えられるように行います。子どもたちは、あらかじめ、とるべき行為とその根拠となる道徳的な考え方が明確に意識できていません。それを教師が授業を進めながら、板書上で「類別」「対比」させながら明らかにしていきます。
実際の授業では、とるべき行動道徳的価値以外にも、様々な状況的理由が出てきます。
たとえば、「もしも、○○だったら、△△だから・・・」のように資料中に書かれていない事実を仮に規定して、それを根拠に自分の考えを進めようとする意見です。(これは、よくある授業の姿で、これについても、どのように扱うかは重要だと考えています。が、今回は、おいておきましょう。)
また、「自分は以前、○○したから・・・」のように、自分の体験を根拠に意見を述べるものです。これについては、しっかり関連を図ってやることが必要です。
さて、今回は、とるべき行動は、二つ。関連する道徳的価値も二つ。ただし、その二つともが「その行為を続ける」ことを選択するよう勧めます。上記の2のパターンなのだけど、二つの理由から一方の行動を選択することがよりよいとされる、という授業です。
授業の記録を端的にまとめたものは、こちら。
授業で用いた読み物資料は、こちら。
くわしい授業記録は、残っていないので、それぞれを参考に、想像してください。なんてことない、ふつうの授業でした。あしからず。