総合学習、導入のポイント1,2,3,4

 「楽しくて力の付く総合学習」の小ネタ・展開例を紹介する2回目。私なりの視点で
指摘する「ネタのよさ」や「展開のポイント」を、明日からの総合の実践に生かしてい
ただけたらうれしいです。

今回紹介するのは、中学年で行うと効果絶大のネタです。題して

学校のまわりを調べて親子ウォークラリーをしよう (33時間 3年生)

です。
 単元構成の概略は、

[1次]親子ウォークラリーの計画を立てる(10時間)
[2次]チェックポイントの秘密を調べて問題をつくる(18時間)
[3次]親子ウォークラリーをして、振り返りをする(5時間)

です。実践の記録は、ここをご覧ください。

このネタと展開のポイントはです。

[1]子供を本気にする単元導入の工夫がある
[2]グループ活動を支える保護者との連携がある

[ポイント1]子供を本気にする単元導入の工夫がある
 単元構成の時間数を見て、1次の多さに驚いた方もいらっしゃるでしょう。私が行う総合
学習は、1次が長いです。
 なぜでしょう。
 それは、子供が本当に追究したいと思う課題をつくったり、その課題を追究する方法や
活動のイメージが明確になったりするのには、それなりの時間が必要だからです。子供を
本気にする工夫を紹介しましょう。

(1)発達特性に見合った魅力的な活動を設定する
 何よりも、「やってみたい」という気持ちに駆り立てる魅力的な活動が必要です。親子
ウォークラリーは、@校外での活動 Aゲーム性 Bクラスの子どもたち以外(今回はお
家の人)の人との触れ合い のある中学年にふさわしい活動と言えます。

(2)活動の具体的なイメージを持たせる
 前回紹介した「オリエンテーリング」にしても、今回の「ウォークラリー」にしても、実際の
活動の「具体的なイメージ」を持たせることが必要です。
 イメージをつくるときに必要なのは、主活動を一度体験させるということです。この単元
の場合は、試しのクイズを解くことでした。どこをチェックポイントにするか決めるために学
校周辺も歩いています。主活動を体験する中で、活動への意欲や、是非とも解決したり
実現したりしたいという生活実践課題をもつことができます。

         
        チェックポイントにできるかどうかを下見する子供たち
                 (県埋蔵文化財センター)        

(3)驚きやギャップを与える
 自分のイメージや予想と違う活動や内容があるときには、子供は意欲的になります。今回
は、クイズの答えに意外性を持たせることでした。楽しみながら簡単にできそうで、実は難し
い内容を入れ込む工夫は、中学年の子供のやる気を高めます。

(4)相手の願いを伝える
 また、学習で関わる対象の願いを伝えることは、子供を本気にするために有効です。今回
は、保護者の方が一緒に楽しみたいという気持ちをもっておられることを伝えることでした。

[ポイント2]グループ活動を支える保護者との連携がある
 今回は、調べ学習の時と最後のウォークラリー本番の時2回保護者の方々に活動を支え
ていただきました。2回目は一緒に楽しんでいただくことが中心でした。
 保護者の方々に学習支援をお願いするときに配慮していることがあります。
それは、

@学習のねらい、学習内容を事前に知らせておく 
A当日簡単に打ち合わせる
B活動を終えて気付き(評価)をいただく
 

の3点です。単なるお手伝いをいただくだけではなく、学習の仕組み方の評価もいただこ
うというのです。詳しくは、ホームページに出ています。ご覧ください。

         
     チェックポイントの県立美術館で、学芸員さんのお話を聞いている親子

 私の実践したウォークラリーは、学校のまわりの公共施設だけに焦点を当てました。
本校の総合学習の内容である「ふるさと〜公共施設〜」を扱ったからです。
 でも、学校のまわりが、自然いっぱいであれば、「環境」という内容にしてもいいです
し、バリアフリーの施設・設備などだけにすれば、「福祉」にもなります。
 工夫次第で楽しい総合学習になるネタだと思います。どうぞ、試してみてください。