3年入門期の総合学習のポイント

 「楽しくて力の付く総合学習」の小ネタ・展開例を紹介していきます。
私なりの視点で指摘する「ネタのよさ」や「展開のポイント」を、明日からの総合の実践に
生かしていただけたらうれしいです。

 今回紹介するのは、3年の1学期最初に行うと効果絶大のネタです。
題して

校内植物オリエンテーリングをしよう(20時間 3年生) 

です。
 単元構成の概略は

[1次]校内植物オリエンテーリングの計画を立てる(3時間)
[2次]オリエンテーリングの問題を作る(10時間)
[3次]校内植物オリエンテーリングをして、振り返る(7時間)

です。
実践の記録は、ここをご覧ください。
このネタと展開のポイント(すなわち、3年入門期の総合学習のポイント)は次の3つです。

[1]学校の中だけで活動を構成することができる。
[2]子どもたちにとって、身近なものである植物に対する見方を変えることができる
[3]総合に共通の学び方をみんなで身につけることができる

[ポイント1]学校の中だけで活動を構成することができる
 これは総合学習を構想する原則から、かなりずれています。いや、それどころか、
反対のことかも知れません。
 それを承知で「学校内での活動」を指摘するのは、学年はじめだからです。「学年は
じめはとても忙しくて、総合学習には手が回らない。結局、6月になってから始めた」と
いう経験がある方はいらっしゃいませんか?逆に「いろいろな場所に出かるなど、学び
方を多様にしてしまったために、単元途中から時間数を大幅にオーバーして困った」と
いう経験がある先生もいらっしゃるでしょう。
 学年はじめの総合学習のポイントの第1は、学校内でできる「楽しくて、力の付く総
合学習」を探すことです。それが、教師の取り組みやすさを保障し、結果、子供に力を
つけることを容易にするのです。私は、そのほかに、「附属小学校のひみつを調べて、
オリジナルホームページをつくろう」というのを実践したことがあります。これも学校の
外に出なくてもできました。

[ポイント2]身近なものである植物に対する見方を変える
ことができる

 このポイントは、「力が付く」という意味で、とても重要です。子どもたちが身につける力
は、「見方・考え方」のレベルと「学び方」のレベルがあります。双方の力が付かないと学
習になりません。
 後者に関連の大きい問題解決の能力だけを取り立てて、総合学習のねらいや評価規
準に掲げるという考え方がありますが、私は、賛成できません。問題解決の能力は総合
学習だけで身につけるべきものではないし、総合学習ならではの領域や内容に応じた
「見方・考え方」があるはずだからです。
 この単元で子どもたちに育んだ見方考え方は、「身近な場所である学校にある植物の
よさを感じ取り、これからの植物とのよりよいかかわりについて考える」です。
 学校という身近なところにある「植物」に対する見方が自分なりのものになり、これから
の学校生活に少しの変化が与えられるでしょう。学校へ来る楽しみが一つ増えたかもし
れません。
子どもたちの感想はここをご覧ください。

[ポイント3]総合に共通の学び方をみんなで身につけることが
できる

 オリエンテーリングをすることは、学び方ではありません。その問題を考える時に、植物の
ことを調べる方法が、「みんなで身につける共通の学び方」です。
 二つあります。「実物に五感を通して関わる」という学び方と「その植物に関することを図
書で調べる」の二つです。この二つの学び方は、「主観的な捉え方」と「客観的な捉え方」と
言えます。総合では、この二つの学び方が特に重要です。双方の学び方を保障するのが、
オリエンテーリングの問題カード作りというわけです。