道徳の時間〜ありがとうの心を学ぼう! 〜友達の悩みを受け止めて〜 友達が、日常生活で悩んでしまったことをきっかけに、話し合いを始める道徳の授業です。 授業の流し方は、次のように行います。
友達の悩みをそのまま話し合わないのは、友達関係などが実際の日常生活なので、本音が言いにくかったり、相手を傷つけることになったりすることがあるからです。フィクションの読み物資料なら、その中の人物について批判したりすることができるからです。 最後は、当面の話し合いの「応え」を出し合い、共通理解することによって、授業を終えます。 授業の実際を報告しましょう。 @数字当てゲームをして、楽しむ 隣の友達と背中を合わせて、目をつむります。そして、一方の友達が心の中で「1〜5」の数字を思い浮かべて、相手にテレパシーで伝えようと強く頭で念じます。30秒程度念じたら、もう一方の友達がそれを答えます。 当たっていても、当たっていなくても、次は交代して同じようにやります。 *このゲームは、友達との心理的なつながりを強くするために行うゲームの一つです。「答えをどうぞ!」と言ったあと、「当たった!」「はずれた!」と盛り上がります。心のウォーミングアップです。大切なのは、「○○くんと■■さんは、気が合うねえ」とか「だんだん心が一つになっていくような気がしてきたねぇ」などと価値づけていくことです。 ANさんの気がかり(悩み)を聞く。 「私がマンションの自転車置き場で、自分の自転車を置いていたときのことです。自分の自転車が人の自転車に当たってしまって、何台かの自転車が倒れてしまいました。これは、困った、と思っているところに、同じマンションの1年の男の子が黙って手伝ってくれました。そして、その1年生の友達は、自転車を立てたら、さっさと言ってしまいました。私は、「ありがとう」って言いたいなと思ったのだけど自分より年下の友達に、なぜだか、素直に「ありがとう」って言えなかったんです。言わなくてはいけないと思うのだけど、すぐに言葉になりませんでした。みなさんは、自分より年下の友達や兄弟に「ありがとう」って素直に言えますか?」 B読み物資料を読んで登場人物の心情を話し合う。 *読み物資料の概容 3年生のゆうすけくんが、花瓶を割ってしまいました。そのとき、1年生のけんいちくんがその場を通りかかり、後かたづけを手伝ってくれました。 15分くらいで、すっかりきれいになって、後かたづけが終わりました。 ・花瓶を割ったときのゆうすけくんの気持ち ・手伝っているけんいちくんの気持ち ・手伝ってもらいながら後かたづけをしているゆうすけくんの気持ち の中で、自分で想像できそうなところから道徳プリントに書き込む。 *子どもたちの反応は、上の板書の写真の通りです。 「ゆうすけくんがありがとうが言えないのは、どうしてなのだろう?」 子どもたちの発言は、下の写真の左側の□囲みのところです。 ・ありがとうというのが苦手だ ・はずかしい ・タイミングがつかめないで、言えない ・勇気が足りない。 ・自分より小さい人には、自分が負けたような気になるので言えない などが出ました。 そこで、最後の「自分より小さい人にありがとうというとその人に負けるような気がする」に着目して、その点だけを話し合いました。 この意見の気持ちが分かる人に手を挙げてもらって、その人たちにもう少し分かるように気持ちを説明してもらいました。 ・自分も同じ年齢になったような気持ちになる。 ・自分より年上の人にならありがとうは言いやすい。 ・何か手伝ってもらうのは、ふつう年上の人からが多い。年下にありがとうと言ったことがないから。 Cありがとうとはどんな気持ちなのか話し合う。 この後、ありがとうという言葉に込められている気持ちに焦点化して話し合いを続けました。 そして、出た結論は、 ●「ありがとう」と言ったからと言って、自分の値打ちが下がるわけではないこと ●むしろ、「ありがとう」と言えないことの方が人間としての値打ちが低いということ ●「ありがとう」という言葉を声に出して相手に伝えなければ、いくら「心の中」で思っていても、気持ちは伝わらないこと をみんなで確認しました。 Dありがとうと素直に言えた自分の経験をプリントに書き、紹介し合う。 最後に自分が素直に「ありがとう」と言えた経験を紹介し合いました。それが下の写真です。 成功体験を出し合うことは、これからの実践意欲を高めることができます。 初めに提案してくれた、友達に感想を聞いて、授業を終わりました! |