2002年 3−1

2学期


単元3 「おじいさん、おばあさんといっしょ」

  一人暮らしのお年寄りを支える会と共に

〜第4回目のあじさいの会の集会に参加する準備をしよう (11/26〜12/10)〜
23〜32時間目(33モジュール)



23,24時間目(6モジュール)

いよいよ具体的に練習する時間が来ました。
グループの出し物(手品、音楽演奏、お笑いの3つ)や、個人的にお年寄りと楽しむこと(クイズ、あやとりとお手玉)については、休み時間や放課後にやることにしています。全体での練習の時間は取りません。

今日話し合ったのは、全員でやる「劇 本当の宝物コンクール」の内容についてです。
この「本当の宝物コンクール」という劇は、中学年がやるのにぴったりの内容を持っています。自分たちでシナリオを工夫できるし、笑いもあるし、しっとりと考えさせられる部分もある、そんな劇です。


私の方から全体の枠を示しました。そして、司会者や審査員などは希望者でどんどん決めました。15分くらいで決まりました。
その後、二班毎にグループになって、それぞれが宝物としてコンクールに出したいものを第3候補まであげました。今回の学習の中心です。

どんな宝物を発表して、お年寄りに楽しんでもらったり、元気づけたりするのか、話し合いました。

7つくらいの宝物のアイデアがが出されました。
@お金
A宝石
B地球や自然
C命
D家族
Eブランド
F傘

です。

この中で@とAはすぐにオーケーが出ました。コンクールの初めの辺りに登場して、笑いをとるという宝物です。
Bの「地球・自然」も、すぐにオーケーが出ました。前半の笑いと、後半のしっとりをつなぐ役割を持たせました。

問題となったのは、C命 と D家族 です。

始めにD家族の方から議論しました。

「一人暮らしのお年寄りが集まる会で、家族が宝物というのは、おとしよりがいやな気持ちになるのではないか?」という問いかけから、話し合いが始まりました。

初めから「賛成」の子供が多かったのですが、反対の子供を賛成にさせたのは、次のような発言でした。

  1. いっしょの家に住んでいなくても、たとえ、東京など離れて住んでいても、電話や手紙、たまに逢うだけでもそれを楽しみにがんばれる、ということを劇で表したらいい
  2. 人間だけではなく、飼っているペットのことも家族と考えたらいい。それを劇にしたらいい。
  3. たとえ、もう亡くなっている家族のことも、大切な思い出として考えたら、やはり家族は宝物だ。

です。3などは、とても3年生とは思えないような発言で、思わず「これが、研究授業ならなあ」などと思ってしまうのでした。
全員賛成で、家族は宝物に入りました。でも最終的には、リハーサルを行って、みんなで確かめることが大切だと思いました。

次にC「命」です。

「一人暮らしのお年寄りが集まる会で、しかも多くのお年寄りが80歳前後、中には90才のかたもいらっしゃるのに、命って言うのはちょっとねえ?」という問いかけから、話し合いが始まりました。

この話し合いは、かなりもめました。30分くらいは話していたでしょうか。賛成者は30人前後いて、多数を占めますが、反対の10名程度が、なかなか納得しません。命は、何にも増して大切な物だし、「命」という宝物が出てきたら、どうしても年寄りはこれから先どれだけ生きていけるのかを考えてしまうから、悲しくなるに違いない、というのです。しかも、元気づけようとして明るくやっても、そう受け止められたら「だめ」だ、という主張です。
賛成派は、一生懸命説得しました。「健康」とか「元気」などの言い方に変えて、直接「命」という言い方を使わないようにするとか、「たとえ病気を持っていても、少しは元気がなくなっていても、それを大切にしていこう」ということを伝えたらいい、ということを主張します。

2度ほど人数の確認をしましたが、相変わらず30人程度と10人程度の差は縮まりません。
途中、賛成派の一人が、「忘年会だから、いろいろないやなことを忘れるという意味で、命ということも出してもいいのではないか」という新たに視点が入ったりしたのですが、動きません。

最終的に「どうしても、みんなにまだ言いたい」という子供にしっかり発表させて、一応人数の確認をしました。
そして、まだ、数名の反対者がいたのですけど、「やったほうがいい」という意見を尊重して、やってみることになりました。リハーサルで確かめ合うということと、これだけ話し合って、決めたのなら、たとえ伝わらなくてもそれはそれで納得いくのではないか、ということも確認しました。

とっても有意義な話し合いの時間でした。それぞれの「お年寄り観」「ボランティアに対する見方・考え方」の現れた時間でした。



この後、
@グループによるシナリオ作り
Aグループによる場面練習1
B1回目の劇のリハーサル
C劇のリハーサル後の話し合い
Dグループによるシナリオの再構成
Eグループによる場面練習2
F2回目の劇のリハーサル
G劇のリハーサル後の話し合い
H全体で歌う歌の決定と練習
Iそのほかのグループによる出し物のリハーサル
Jリハーサル後の気付きの発表
が、順に行われました。
とても全てを掲載することはできませんでしたが、やはり人に見せる劇を作ろうとすると
大変でした。
最終的に33モジュールを使った「準備の学習」が終わったのでした。


活動の様子を、板書の写真で記録しておきましょう。


劇のリハーサルを見ての話し合いの記録
●言い方、話し方、声の大きさ
●衣装、持ち物、雰囲気作り 
●動き、演技、動作などなど 
●せりふそのもの、台本の変更


全員合唱の曲目について話し合った時の記録
ジングルベルの歌   
●大きなのっぽの古時計
●ビリーブ         
この3曲でかなり真剣に話し合いました。
結局、ビリーブに決定しました。

劇の初めの言葉「どうぞー!」 劇のリハーサル中
全員合唱の伴奏中「ビリーブ」 久しぶりに歌う「ビリーブ」