2002/04/30

心のノートの活用について

道徳部 

1.        心のノートの編集方針

(1)   基本方針

       学校全体を通しての道徳教育の充実

       道徳の指導内容について児童生徒自らが考えるきっかけとなり、理解や学習を深めていくことができる児童生徒用の冊子。小学校、中学校の全児童生徒に配布。

       子供自らが考える機会を提供する。すなわち、「子供自らが考える機会を提供することを、大人・教師・家庭・地域が提供することを怠った」という反省に基づいている。

       学校全体での道徳教育で「子供はいったい何を学んでいるのか」が家庭やその他の大人に理解されるための役割も担う。道徳教育の教科書があるわけではないし、普通の大人が、「学習指導要領 道徳編」を読むわけではない。学習内容(内容項目)と学習方法の両者を非常にわかりやすく提示されるようにしてある。

       一人一人の子供が日常的にかつ容易に使うことができる。子供自身が何度も繰り返して読み返したり、書き込んだりして活用することができる。

       道徳の副読本や指導資料とは一線を画する。教科書とも違う。すなわち、「副読本はいらない」でもないし、「教科書ではないか」ということでもない。道徳の国定教科書(修身)と捉えられないことは大前提。

       当たり前であるが、道徳の時間の使用の場合、最終的に行為に結果を求めてはいけない。

       しかし、「どう行動していいかわからない」という子供もいるので、スキルトレーニングやエンカウンターの手法も盛り込む。

       「こう考えればいいのだということを示しすぎること」と逆に「何を考えていいのかわからない」ということでも困る。両方の点から検討して作成すべき。

(2)   主に使用する場面等

       日常生活や全教育活動

       道徳の時間おける補助資料

       家庭での活用

(3)   種類

       小学校用3種類(低学年用、中学年用、高学年用)

       中学年用1種類

       教師用指導資料(未配布)

(4)   配布計画

       平成14年度初め、全小学校・中学校児童生徒全員に配布

       以後、毎年、小学校1,3,5年、中学校1年生全員に配布

       本年度は1200万部配布。文部科学省が配布する資料の中で最も多い資料となった。また、その他の書籍の中でも最大級の発行部数となる。

2.        活用についてのお願い

(1)   道徳教育全体での活用のために、道徳の時間1時間をとって、「心のノート」使用のオリエンテーションをしてほしい。オリエンテーションの仕方は各自の創意工夫でお願いしたいが、次の方法が容易である。また、これは、家庭との連携の第1歩となる。

@     心のノートを「全員」に持ってこさせる。「全員」がポイント。

A     使用の趣旨、使い方を簡単に説明する。(低・中〜4ページ、高〜目次右上)加えて、このプリントの1にかかれている基本方針からクラスの子供にとって必要だと考えられることを選んで、わかりやすい言葉に直して話す。

B     目次を順番に見ながら、内容を簡単に説明した後、好きなところを自由に読む時間をとる。

C     子供が口々に話したり、つぶやいたりすることを必要に応じて数人取り上げ、全体に広げる。

D     とても、楽しいそうで大切なノートであることを全体に広げて、こんなノートに名前をつけようと投げかけ、初めのページに名前をつけさせる。(ここまでで15分程度は過ぎているはず)

E     「心のノートを使い始めた『今の自分』を書き留めておこう。そして、来年の自分と比べてみよう」と投げかけ、フェイスシートの部分(低8ページ、中6ページ、高4ページ)を書き込ませる。(20分程度かかる。ここまでで35分)数人に発表させたり、自由交流をさせたりして、一人一人が今の自分が見つめられるようにする。

F     まとめとして、「あなたを大切に思う家族の人と一緒に考えてくることもこのノートの大きな特徴」であることを押さえて、「家族と一緒に書き込んでくるページを指定」して、「家庭学習」とする。その際、別紙「親子で心のノートを使ってみませんか?・・・心のノート活用のお願い」のプリントをそのページに挟んで持ち帰らせる。

   *指定のページは、たとえば、低・中〜15ページ、高〜33ページ

G     翌日、教師から一言書く。(大変だけど、学期に1,2度は家庭と学校を往復させてほしい。その日は、「心のノートが日記だと思って朱を入れる」と考えるとやりやすい。

(2)   道徳の時間での活用のために、次のことをお願いしたい。

@     道徳の時間の時は、副読本だけでなく、心のノートの同じ内容項目のところを開いて、両者を結びつけて指導できないか検討する習慣をつけてほしい。

A     心のノートで道徳の時間を指導しようとすると、学級活動的な「行為を強く促す」ような授業になりやすい。そこで、その日の終わりの会などで家庭での関連使用に触れるようにするなどの工夫をしてほしい。

B     また、心のノートを道徳の時間で活用する場合には、書き込むことが目的ではなくて、書き込む意味や書き込んだときに感じたこと、一定期間書き込んだことをもとにしてそれを見て考えたこと、また、それらをみんなで交流することに重点を置いて授業を構想してほしい。

(3)   生徒指導の重点指導内容と関連して活用するために、次のことをお願いしたい。

@     3つの重点指導内容について全員で考える機会を持つ(学級活動、朝の会や終わりの会を活用して)

l         あいさつをしよう   低:30〜33、中:34〜37、高:36〜39

l         物を大切にしよう   低:62〜65、中:66〜69、高:76〜79

l         友達のよいところをみつけよう

             低:38〜41、中:42〜45、高:44〜47

A     そのほかの生徒指導上の指導事項について、ただ話して聞かせるのではなく、心のノートを活用して指導してほしい。

(4)   各教科等の学習内容と関連して活用するために、次のことをお願いしたい。

@     生活科、理科などでも、工夫することによって心のノートを活用することができる。専科の先生にも心のノートを配布するので、使用を検討していただきたい。

A     総合的な学習の時間での使用を意識して作成されているページもある。(前述、高学年「あいさつ」のページなど)関連指導できないか検討していただきたい。

(5)   そのほかの活用について、次のようなことも検討することができると考えられる。

(1)   学校間交流(当たり前だけど、全国のすべての子供が同じ心のノートを持っている・・・)で活用する。

(2)   かなりの部分(低学年などは、保護者の書き込みのスペースが用意されている)家庭で保護者と一緒に書き込んだり、振り返りをしたりすることが期待されている。効果が上がる内容については、躊躇せず、家庭での取り組みを促し、親子で取り組む工夫をしてほしい。(学級通信などでお願いする)

(3)   学級懇談の資料的な扱いとして活用する。(本年度、学級懇談の1度は、心のノートを見ていただいて、趣旨を話したり、子供の様子を説明する際の資料として活用してほしい)

(4)   心のノートの書き込みを、家庭学習の「日記」的な扱いにして、教師と子供の間を行き来するように活用する。

(5)   学校行事の事前事後指導に積極的に活用する。

(6)   全校朝会の「心に残る話」を記録することに活用する。低:78,79、中:93、高:105ページに記入させる。

(7)   委員会活動の導入や振り返りに活用する。

 

3 心のノート使用において問題になることについて(すなわち、このノートの欠点)

l         網羅的になっていること(それは、それで仕方のないことなのだけど・・)

l         書き込みのスペースが非常に多くて、現実にすべて使用するには、それ相応の時間を必要とすること、などが、今のところあげられる。

l         各学年クラス替えの学校は、使用するページをある程度そろえておかないと次の学年の時に困る。それは、独特な学級での指導計画と矛盾する場合もある。