主題  心の声で伝えよう

9月の道徳の時間は、「心の声で伝えよう」がメインです。今回は、耳の不自由な方との交流をいれた「道徳の時間」についてご報告します。2時間扱いです。



1時間目
 次のような学習をしました。



(1)お話を聞く。
はじめに、坂本が以前担任していた難聴の子供のことを資料化した話を話しました。途中、「難聴」「補聴器」「手話」などの言葉を補説しながら、少しずつ読み聞かせました。難聴という言葉は、あまり理解していませんでしたが、補聴器、手話は大丈夫でした。
 読み物資料は、およそ次のような内容です。
担任した難聴の子供(藤井君 仮名)は、手話通訳の先生の手助けもあって、勉強を一生懸命努力する。それは担任にとても印象的なことだった。しかし、それよりも心に残っているのは、クラスの子供たちと何の不自由もなく普通に遊んだり勉強したりしていたことだ。友だち同士のつきあいの中で手話はあまり使わない。それなのに普通に生活している。この不思議の秘密はいったい何なのだろう・・・いつも感心していた。



(2)感想を発表する。
 代表的な4つの感想が出ました。
@そのクラスの友だちがどうしてコミュニケーションできるのか不思議だ。
Aエイミー先生の時と同じで、伝えたいという気持ちやわかりたいという気持ちがあったのだと思う。
B耳が不自由だと普通避けられる(以前本で読んだことがある)けど仲良しなのは、周りの人が優しいかったり、藤井君も優しいのだろう。藤井君は幸せ。
C藤井君は周りの友だち(地域の友だち)と一緒に学習や生活をしたいのだと思う。本人の努力があったのだと思う



(3)優しさについて話し合う。(思いやりのある行動や公正公平な行動について話を深める)
「本当に優しさだけで仲良しになれたのでしょうか?」と問いかけて、話し合いを深めることにしました。
@時にはけんかをして一層仲が深まったのだと思う。
A表面的な優しさだけではだめだと思う。
Bやさしさだけでは十分ではないことはわかる。
C一方が我慢ばかりしているのではだめだと思う。自分ならはっきり思うことは言う。
D相手の考えを知る。本音を知ることが大切。分かり合えることが大切だ。などなど。




この話し合いは最終的には、次のようになりました。
特別扱いではなく普通につき合う、自然、当たり前、同じ人間、同じ目で見ていることが大切である。
 その上で私達にできることを必要なことをやることが大切という結論です。この結論がどれだけよいものかわからないので、私の方から、投げかけました。

「耳の不自由な人との交流会を開いて、生活や気持ちについての話を聞いてみませんか?そして、今の結論についてのご意見も聞いてみましょう。」と。

その後、いらっしゃる方のお名前を紹介して、特に聞いてみたいことをメモする活動で学習を終了しました。


2時間目は、交流会です。次のようになりました。

(1)自己紹介 
 私の方から簡単にお名前を紹介して、自己紹介をしていただきました。聾唖者の方と手話通訳の方においでいただきました。



(2)質問の時間
 普段の生活で困ることはないですか?などの質問をしましたが、その答えの内容は、あとのお話と重なるので、ここでは省略します。



(3)お話の時間(簡単にお話の内容をお伝えします)
@私の耳の聞こえないと言う状態は、年をとって聞こえが悪くなると言う様なものとは全く違う。全然聞こえない。
A今までいろいろな不自由や差別を受けてきたこと。(例えばということで、いくつかの例が出てきました)運転免許がとれなかったとか、病院や銀行で自分の名前を呼ばれて気がつかなかったこと、仕事がないこと、電話が使えないので、子供の病気のとき・緊急の時に不便だったこと、仕事のミスを耳の不自由な人のせいにされることなどがあったなど。
B科学技術の進展で最近便利なものが増えてきたこと。例えば、合図君(銀行などで使うバイブレーションのある呼び出し道具。玄関のお知らせランプ、携帯電話の文字電話(メール)、などなど
C自分は、小さな時から耳が不自由になった。聞こえないのが当たり前だった。比べるものがないので、不便だという気持ちが少ないこと。
D周りの人もよくしてくれるので、不幸とは思わないこと。
E子供たちにできることは、手話を覚えてほしい。言葉のキャッチボールができる。



(4)最後のメッセージ
自分は聞こえという状況の中で懸命に生きてきた。今までにもいろいろなトンネルをくぐり抜けてきた。トンネルは、長いものも短いものもあった。トンネルには、入り口と出口がある。どんなに長くつらいことでもとりあえず歩いていくこと、そうしたら、出口に近づいて、明るいところに出る。聞こえないので不便だったけど、今は便利な社会になってきた。今、思うと、がんばって耐えてきたことがよかったと思う。みなさんも、どうぞ、一生懸命がんばってほしい。



(5)感想をノートに書く。
 話し合いを深める時間は十分にありませんでした。そこで、感想をプリントに書くことに。
感想を学級通信に載せて、終わりの会に紹介しあい話し合いを深めることにしました。